タイトルから時代劇を想像したのですが、人情味あふれる小さなせんべいやさんが舞台。
おなじみさんに売れるだけのせんべいを作り続けているおじいさんの、せんべいを焼く手さばきに魅了された少年が三日にあけず店前に現れて、せんべいを一枚食べて行きます。
自分もそうだったと、せんべいやのおじいさんが、思い出を語ります。
せんべい焼きの手さばきは先祖代々に引き継がれた技術。
それは剣術にも通ずるところがあったのでしょう。
何代か前の話。
せんべい焼きの手さばきに魅了された少年が、せんべい焼きに取りつかれて修行を始めます。
それを知った父親が少年をいさめますが、少年はせんべい焼きの技を竹刀に置き換えて父親をうちまかせてしまいます。
群れになった友だちも倒してしまいます。
武道とせんべい焼きの通じるところという発想には唸りますが、人生ってこんなものだなあなどと感じました。
自分の好きなことを見つけること、それがせんべい焼きであってもいいじゃないか。
この本はそう言っています。
せんべいの香ばしさと、痛快さがこもったお話。
理屈抜きで楽しいお話です。