グリム童話には、同じお話でもいくつものバージョンがあって、再話、テキスト、翻訳の仕方によって味わいが変わるので、それぞれに楽しめます
『おやぶこぞう』については、フェリクス・ホフマンの絵本とスペン・オットーの絵本を読んでみました。
どちらもグリム童話の絵本を数多く手掛けているのですが、それぞれに味があります。
フェリクス・ホフマンの絵本は大塚勇三さんの訳、スペン・オットーの絵本は矢川澄子さんの訳。
こちらも多くのグリム童話を手掛けています。
そして、このお話についてはテキストが同じなのか、両者が忠実に訳しているのか、表現が違うくらいで、ストーリーは全くと言っていいほど同じです。
「むかしむかし」で始まるのですが、ホフマンの絵本の方が、オットーの絵本に比べると、それほど遠い昔ではなさそうです。
お話は近代社会の出来事として読めます。
絵からは、おやゆびの大きさの子どもの小ささと、小さいながらの頑張りが伝わってきます。
牛やオオカミのおなかの中を透視したような描き方が面白いと思いました。
おやゆびこぞうの活躍もさることながら、脇役に回った両親の思いが感じられました。
子どもが欲しくても、なかなかできない夫婦。
ホフマンの絵本は、日本昔話的なのかもしれません。