韓国の2000年の刊行の作品で、日本では2007年初版。
舞台になっている東江は、韓国の中西部に位置し山間の渓谷を流れる27kmの川。
カヌーが盛んで、四万十川のような清流のようです。
物語は、町へ豆を売りに出かけたお母さんの帰りを待ちきれなくなったお兄ちゃんのトンイと妹のスニが、お母さんを迎えに行くことにするシーンから始まります。
川沿いに歩くのですが、それが東江です。
川辺にある岩が、いろいろな物に見えてくるのですが、幼い二人の心情を上手く表現しています。
その隠し絵は、物語に登場するものもあれば、単に潜んでいるものもあり、風景に溶け込んでいる、素晴らしいもの。
キム・ジェホンは、「絵の中にかくされた絵」という絵画展で、多くの人に新鮮な驚きと深い感銘を与えてとありましたが、その感動が、この絵本で享受できること間違いありません。
兄弟愛、自然との触れ合い、人と自然の共存など、今の日本で忘れかけられそうなことを、充分に感じることができるでしょう。
ラストシーンも微笑ましく、心の琴線に触れる作品としてオススメします。
キム・ジェホンの絵は、光と影を巧みに駆使し、自然と人の融和を見るものに訴えてくる、一見の価値あるものだと思います。