【内容】
雨が降っている池。かえるが葉っぱの雨傘を売る店を始めた。
かえるの店に、かえるが雨傘を買いに来る。かえるは雨が降っても問題ないはずなのに、雨傘を買っている。池の仲間たちも、畑の作物たちも、かえるがあまがさをさして歩いているのを温かく見守っている。
詩のような文章を楽しみながら、かえると一緒に雨ふりをたのしむ一冊。
【感想】
ユーモアがある作品。絵は那須良輔氏による、昭和の香り漂う温かい脱力系。楽しく温かいファンタジーだ。
かえるは雨傘など必要ないのに、道楽で商売を始めてしまうのがステキだ。お客のかえるもその辺のことは心得ていて、シャレで雨傘を買っている感じだ。かえる業界は暇なのだろうか、みんなが葉っぱの雨傘で遊んでいる様子がほほえましい。
大人になってこういうのんびりした絵本を読むと、なんとなくふんわりほんわかした気分になって救われる。今は、こういう昔の絵を描ける人はなかなかいないと思うので、貴重な体験。昔、日本酒のCMで色っぽいカッパのアニメーションがあったが、あれとか、東海林さだおさんとか、その辺の風刺の効いた作風を思わせる。絵を描いた那須氏は風刺漫画を描いていたそうだ。絵に魅力があり、何度も読み返してしまう幸せな作品。
のんびりしていて、特に何も事件が起こらないところが、素敵だ。平和っていいなあ。