子供と対面で、その時々でどんな態度を取るか、どんな言葉をかけるか、または何もしないか、それが育児における対面力だと日々、感じます。私も含め、多くの人がその力が常に足りているのかどうか不明ながら、過ごしていることでしょう。
この絵本のおとうさんがやっていることは、正直、高度すぎる。対面力が高すぎる。子供の問いかけに一切答えず、無視しているように見えて、存在を無視しているわけではない。
子供の中には、「何も言わずに、こうやって見てくれるだけで良いのに」と両親を見ている子もいるでしょう。でも、きっと子供の頭ではそこまではっきり言語化できることでもない。なんか、ちがう、なんか、そうじゃない。そういうもやもやした子供の理想をこのおとうさんは体現している点が、真似できないと感じる。
こういう接し方もある、という面で保育者のために良い作品だ。
うちの場合は、子供も私も「何も言わないでただ、そこにいるだけ」という大人の価値がわからないので読み終えた後に二人して「ふーん…?」というリアクションに。
でも、また子供は自分でこの作品を開いて読んでいたので、何かしら心に訴えるものがあったのかもしれないです。