ベルリン在住の作者が描いただけに、この作品から「ベルリンの壁」を思い起こしました。
ベルリンを分断する壁は、人々を実際に閉塞した思想と政治の壁でした。
壁を越えることは、命をかけることでした。
でも、この作品には、具体的な壁というよりも心の中に作ってしまった自分自身の限界の壁という要因が強いようです。
壁の中にいることは安心で平穏かもしれないけれど自分の可能性の放棄でもあるのです。
壁を越えることで見えてくるものがあること、壁を越える勇気が自分を変えること、抽象的でありながら、自分の人生を考える哲学的な世界にまで、昇華させた作品です。