きつねの子がバスに乗って、海の近くの街に住むおじさんに会いに行きます。街に行くことも、海が見えることも、おじさんに会えることも、どれもきつねの子にとって素敵な体験だと思いますが、タイトルはそのどれでもない、「バスにのるひ」。
大人にとって何でもない日常のことが、子供にとってはそうでないということがあります。バスに乗るのにお金は足りるかな、降りるバス停を間違えたらどうしよう…。わくわくする気持ちと、ちょっぴり不安な気持ち。ひとりでバスに乗るというのは、子供にとって一大イベントなんですよね。
それに加えてこのストーリーでは、自分がきつねであることを周りの人間に気づかれてはいけないという、ドキドキ感があります。
きつねの子を見守るバスの旅。最後はホッとして、明るい気持ちになれました。子供はこうやって「初めて」を積み重ねて成長していくんだなと、改めて思いました。