山の見える町へお引越ししてきた かなえ。
初めての町。まだお友達はいません。
とん、ことり。ポストにお花が・・・。誰かしら?もしかして、私に?
お花や、お手紙が毎日ポストに、入っています。
誰なの? かなえはポストに紙のお人形が入ったとたん、その主を追いかけます。
「まって、まってよう!!」
ゆっくり振り向いた、知らない女の子。
「せんぶ、あなたなの? あたしにくれたの?」
「そう」女の子はうなづきました。
新しい、お友達ができたよ!! よかったね。
我が家は転勤族です。
長女が年中の夏休み、初めて引越ししました。
引っ越す前は、お引越しって何?とピンと来なかったようだったけれど、
新しいおうちに来てから、その意味がわかったようです。
前のおうちに帰りたい、お友達に会いたい。
新しい幼稚園は、馴染めないわけじゃないけど、心を許せる仲良しはまだいない。
「今日はおなかがいたいの」
明らかにずる休みです。わかっています。
数日行っては休み、また数日行っては休む。
途中から参加した運動会の練習にもついてゆけない。
みんなが上手に弾けるピアニカも、長女には初めてで出来ない。
気持ちがわかるから、無理強いは出来ませんでした。
そんな頃、この本をよく読みました。
二人で泣きながら。
頑張ろうね。きっとお友達、できるよ。楽しくなるよ。
ずる休みも3日連続したとき・・・うちのポストに切手のない手紙が。
「はやく、かぜなおってね。おいもほり いっしょにしようね」
近所の同じクラスの女の子でした。
「とん ことり とおなじだね! あしたはようちえん、いくよ」
一人ぼっちじゃなかったね。
お友達、できたね。
印象的なシーンが二つあります。
ひとつはこれから通う幼稚園を見学に行ったシーン。
お手紙とお花をくれた女の子がかなえを遠巻きに見ているんですね。
もうひとつは自転車で二人が並んで走っているシーン。
文は書かれていないけど、かなえとお友達の笑顔を見れば、もう、それで大満足です。
林明子さん どうしてこんな笑顔が書けるんでしょう。
この笑顔にどれだけ励まされたかわかりません。
長女にも早くこんな笑顔が戻って欲しいと何度も思いました。
この先もまたお引越しするでしょう。
年齢が上がると、もっと辛いかもしれません。
でも、そんなとき また この本を開いてみようと思います。