「つりばしゆらゆら」では、きつねの子がつり橋を一歩一歩と渡り、やっと半分まで来たところで物語りは終わります。その過程でのきつねの子の心の動きが、とても丁寧に描かれていて、これだけで完結した素晴らしいストーリーと言えるのですが、単なる「続編」への期待でなく、きつねの子の「その後」、「成長」を楽しみに思う気持ちが自然と湧き上がってきます。作者の森山さんも、「まだ見ぬ相手に向かって、きつねの子は「またいつかあそぼ」と挨拶を送りますが、その「いつか」をできるだけ間近な「いつか」にしてやりたいと思っています。」と、あとがきに書かれていました。私も、そんな思いで、「あのこにあえた」を読みました。
きつねのこが、ついに、つり橋を渡りきり、疲れて眠ってしまいます。目を覚ますと、さっき小石で書いた「きつね こんすけ」の名前の横に、並ぶようにして、ひらがなの字が!
「きつね こはる」 私より先に、娘が声に出して読みました。
目の前の草むらの陰から、顔をのぞかせたのは、きつねの女の子。
ふたりは向き合って立ち、にっこり笑います。このときの、2人を包む夕焼け空のようなオレンジ色が、とても暖かく、素敵です。
娘も、この3ページが大好き。最初は、「わあ!」と感嘆の声を上げ、次には、口をあけたまま、私の目をじっと見つめ、最後は、私の額に顔をくっつけてきました。本当に嬉し恥ずかし、といった感じで、まるで、きつねの子を見ているようでした。