バムとケロのシリーズを読むと、現実世界で実現できるファンタジーもあるのだという事に気付かされます。たとえば、バムケロシリーズ第一作目であるこの本の中では、まず、ケロちゃんが散らかした部屋をバムが掃除をする所から始まります。その散らかし方は半端な物ではありません。丸められたティッシュ、飲みかけのちょっとこぼしたジュース、派手にお店をひろげた全てのおもちゃは、しかし全て遊んだ後の形跡あり。そして、袋が開いているとは知らずに片そうと持った拍子にポップコーンがこぼれおちてしまうバムの「やれやれ…。」という顔!かなり現実的なのに、ちっともうんざりさせないこのシーンは、つい「コラー!」とおこってしまう私にはちょっとした驚きでした。
そして食べきれないくらいたくさんのドーナッツを揚げるシーンでの油のはねっぷり、すごい煙、そしてゴーグルをしてせっせと油の中に生地を放り投げる時の二人の楽しさが、とめどなく伝わってきます。全然絵的には美しくないし、ここでも徹底的な汚しっぷり。でも、ここまで徹底した楽しみ方をファンタジーと言わずに他になんと言えばいいのか。子育ての教本、と言う言い方はあまり好きではないけど、この本は子育てを楽しみまくる究極の一冊です。