1962年刊行。高い山に降り積もった雪が溶けて流れだし。小川となり、人々の住む村や町を通り抜け、発電所や水田、工業地帯などを通り抜け、大きな川になり、海にそそぐまでを辿る絵本。
横に細長い画面いっぱいに、風景が広がる。
余分なものは省き、大事なところがしっかりわかるように工夫されたデザイン。上空から地上を見下ろす視点で、川の様子を眺める。
川を見ると同時に、人々の暮らしも見る。動植物、建物、道路なども全部見て、それぞれの関わりも眺めてみる。
総合的に学習し、理解できる。なんの苦も無く、この絵本を何度も眺めるだけで、水の働きと人間の生活がいっぺんにわかってしまう。
よく考えられた絵本である。
文章も読者が楽しめるように、いろんな仕掛けがなされている。
探し絵の機能もある。読者への深い愛情と、子どもの可能性への高い信頼があってこそ、こういう仕事ができたのだと思う。
※尚、私が見たのは改訂版。83版から、文章の一部を変更したという。社会事情の変化により、河川がきれいになったからだという。そこまでできる作者と、そこまで版を重ねるほど支え続けた多くの読者があったすばらしさにも感動した。