ちいさいおうちは、NHKの教育放送で紹介されていたので、姪の誕生日に買ってあげました。田舎に建てられたおうちが、最初のどかな風景の中で笑っているように見えます。しかし年月が流れていくにしたがって、ぎすぎすした都会に埋もれ人が住まなくなったおうちはなんだか泣いているようです。
やがて、むかしこのおうちを建てた人の「まごのまごのそのまたまご」にめぐりあって最後におうちはまた田舎にひっこしてよかったよかったって話になるのだけれど、その田舎の景色はいちばん最初のページに描かれたのとそっくりです。
ひょっとして、これって、田舎にいる都会がくる、田舎に逃げる都会が追っかけてくるって、おうちにとっては無限の巡回じゃないかとも思えてきます。逃げても逃げても自然の破壊が追いついてくる……ほのぼのとした絵本でありながら、もしかしたらとても怖い話じゃないかと感じます。