絵本にっぽん大賞。戦後間もなくの頃の風蓮湖で白鳥保護活動をした老人の物語です。
この絵本で、白鳥が色々な悲劇に見舞われている姿を知りました。人間に撃たれたり、自然の驚異にさらされたり。
特に自然は厳しいなと感じたのは、湖に足ごと凍りつかされてしまった白鳥の場面です。
そしてその傍らには、その白鳥を思い離れられなくなり、やはり同じように凍り付いてしまった白鳥。
はくちょうじいさんという、この工藤さんはそういった白鳥を助けてあげていたのですが、いつの間にか周囲を巻き込んで白鳥を助けるようになります。
そこでふと私にそれでいいのだろうかという迷いが生じました。
白鳥を助けたいという思いは悪い事ではないでしょう。
ただ、大変厳しい自然、生も死もそのなかにあって、人の力でそれをコントロールしようということは、果たして良い行為なのかどうか。。。
工藤氏の功績は功績として、そこに多数がよりかかってしまっていいものかどうか。
奇しくも、工藤氏自身も、作品のなかで白鳥センター建設の下りで逡巡する場面が見られます。
恐らく一人でやっていた頃には感じなかった、人間の傲慢さというか恐ろしさを途端に思い知ったのではないでしょうか。
私は絵本を読んだあと、そんな自分の迷いをあますところなく子供につたえました。
子どもは非常にまっすぐな瞳で『いいんだよ!白鳥を助けることはいいことなんだから!』と言ってました。
大人と子供で見解の相違がわかれた作品でした。