![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
タイトルと表紙に強烈に惹きつけられます。 くろいの、っていったい何? なんとも奇妙で不思議な味わいに満ちた作品です。
女の子が町で見かけた「くろいの」。 全身まっくろで、大きな目を持っているけど、動物でも人間でもないみたい。 へいの上にいたり、バス停にぽつんと座っていたり。 なんだろう? なにしてるんだろう? と、気になる存在。 どうやら大人には、くろいのは見えないらしい。
ある日思い切って声をかけてみたら、とことことこっと歩きだした。 へいの穴をくぐった先にあったのは、素敵なお庭をもつ、どこかなつかしい日本家屋。
くろいのはしゃべらないけれど、でも不思議と、一緒にいるととっても落ち着く。 くろいのに誘われて、おしいれを通って屋根裏にあがってみると、そこに待っていたものは……!
黒と白のみで描かれた絵なのに、草や花や木のにおい、夕焼けの色、温かさややわらかさまで伝わってくるのが、たまらなく魅力的なのです。
くろいのの正体はわからない。 おばけなのか、妖怪なのか、妖精なのか……。 もしかしたら、子どものほうがなじみのある存在なのかもしれません。
作者の田中清代さんは、『おばけがこわいことこちゃん』『トマトさん』など子どもたちに大人気の絵本を手がけている方です。
(山田裕子 小学校司書)
![くろいの](/images/4033328807_20200717114401_op1.jpg)
![くろいの](/images/4033328807_20200717114401_op2.jpg)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
ひとりで帰るいつもの道で、女の子が不思議ないきものをみつけます。どうやら、自分にしか見えていないみたいです。ある日、思いきって声をかけると、そのくろいの≠ヘ、台の上からおりてきて、とことこ歩きだしました。ついていくと、へいの穴からもぐりこんだのは、ほどよく古びた日本家屋。そこは、くろいのの家でした。 おしゃべりはしないまま、居心地のいい居間でお茶を飲んだあと、くろいのは女の子を、押し入れの中から屋根裏につれていってくれました。そこに広がっていたのは、暗闇の中にキノコやコケが光る幻想的な世界。ブランコやすべり台で思いきり遊んだあと、ふたりは大きな生きものの柔らかな毛なみにつつまれてぐっすり眠りました。お母さんの夢を見た女の子は、また、くろいのとともに居間にもどってきます。 わかれぎわ、くろいのは一輪の花をくれました。帰り道のとちゅうで、お父さんとばったり会った女の子は、ふたりでなかよく家にむかいます。
ひとりでいるときの子どもの心に優しく寄り添ってくれる不思議な生きもの、くろいの。そのくろいのとわたしの愛おしくなる出会いを描いたあたたかな絵本。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
くろいの。確かに正体は気になります。何だろうと最後まで気になりますが、こういった存在、怖くない感じもしてでも怖い感じもして。でもこの女の子、怖がってないので、私も怖いとは思いませんでした。むしろ羨ましい気がしました。一人じゃないから寂しくなくなる。そんな気がしました。私も出会ってみたい、あのくろいの。 (ピンクちゃんさん 40代・ママ 女の子13歳、男の子6歳)
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