![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
人形たちから、おつきさまへのメッセージ おつきさまのやさしい光で目覚めた人形たち。マトリョーシカ、日本人形、テディベア……それぞれが、おつきさまとの思い出を語りはじめます。月夜におくるお話。
・作/市川里美さんからのメッセージ
私のパリのアパートには大きなおもちゃ箱があり、そのなかに世界を旅して持ち帰った人形が詰まっている。入りきれなかったものたちは窓辺に、あるいはイスに、棚の上にそれぞれ居場所を確保している。それにしても数が増えてしまった。いったい私の人形好きはいつ始まったのだろう……。 子どもの頃、人形好きの祖母の影響でずいぶん人形と遊んだけれど、大人になるにつれ、すっかり忘れてしまっていた。それに再び“火がついた”のはニューヨークのアンティークショップで、子供とたくさん遊んだ証しである、ヨゴレやシミをいっぱいつけて、ニッコリ笑っている布人形に出会ったときからに違いない。アメリカのママが子供のために、ありあわせの布で一針一針縫って作られたその人形は愛らしく、一目で気に入った。ひどく懐かしいものに出会った気がした。それから30年以上、世界のどこを旅しても必ず、その土地の人形を探し求めてしまう。 さまざまな旅の思い出はつきないけれど、とりわけお月さまの思い出は心に残る。お月さまは、しばしば思いがけない時や場所から姿をあらわし私を驚かせた。不思議な美しさに茫然と見とれていると、また静かにスーッと姿を消してしまうのだった。ずっとあとになって思い出すとき「さて、あれはほんとうに見たのだろうか? それとも夢だったのか?」と問うてみるけれど今となっては確かめるすべはない。そんなとき、そこから持ち帰った人形がそばにあることによって「いや、いや、私はたしかにあそこにいた」と信じることができる。 人形たちは私の旅の証人であるのかもしれない。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
表紙の、レトロな人形たちに惹かれ、手に取りました。
世界中の人形たちが、自分とおつきさまの思い出を語ります。
日本人形、ロシアのマトリョーシカ、フランスのピエロの指人形、イギリスのテディベアなどなど……。それぞれの国の雰囲気が味わえて、世界中を旅している気分になれます。
みんなで並んで空を見上げているラストシーンがとてもステキでした。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子12歳)
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