のねずみの3兄弟が、クリスマスの日に起こすほんの小さな奇跡とは?
まちのはずれの雑木林に住んでいるのは、のねずみの家族。 3びきの子ねずみたちは、向こう側に見えるガラクタ置き場に行ってみたくて仕方がないのですが、まだ小さいのでお父さんに止められています。
一方ガラクタ置き場では、くぼちに転がっている古びたカギ、くすんだ金ボタン、電球のくちがねに、さびたボルト、そしてよごれたガラスのかけらが自分たちの華やかだった昔のことをしみじみと語り合っていたのでした。かつての自分が王様のコートのボタンだったり、宝石箱のカギだったり、想像するだけでもうっとりします。 ただ、ガラスのかけらだけはいつも黙って聞いているだけ。なぜなら、ガラスのかけらは今まで一度も何かをした覚えがなかったのです・・・。 やがて冬が来て、子ねずみたちもガラクタ置き場で遊ぶ事が許される日がやってきました。 夢中になって遊ぶ子ねずみたちは、小さなくぼちに転がっているガラクタたちに気がついて。
柔らかな水彩で描かれた世界が魅力のたかおゆうこさんの新作は、じんわりと優しい温かさに包まれた心に残る絵本です。たかおさんの手にかかると、ガラクタたちのお話も、のねずみの家の中も、キラキラして見えてくるから不思議です。派手な色彩を使っているわけではないけれど、物語に登場する一つ一つの小物たちにまで深い愛情が注がれているからかもしれません。 寒くなったこの季節、心がぽっとあたたかくなるこの一冊をおすすめします!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
雑木林のはずれに、のねずみの一家が住んでいました。さんびきの子ねずみは、林のとなりのガラクタ置場に行ってみたくてたまりません。いっぽうガラクタ置場では、古い金ボタンやカギ、ガラスのかけらなどが、冬の夜空の下で、むかしのことを話しあっていました。そして、ある雪の日、初めてガラクタ置場に遊びにきた子ねずみたちが、ガラスやカギを見つけ…? クリスマスツリーも登場する、しみじみと心に残る冬の絵本です。
こねずみのお話ですが、使われなくなってがらくたたちのお話が心惹きます。
宝石箱の鍵や金ボタンたちの昔話を黙って聞くガラスは、一度も「なにか」だった記憶がないガラスを吹くときに落ちたしずくであることが切ないです。
がらくたたちの見上げる星の瞬きの美しい夜空の場面が、本当にきらきらしていて美しい絵だと思いました。
物にも心があり、いつまでも大切にしてくれる事を願っている、その人が使わなくなっても、また違う人が必要としてくれる・・・がらくたたちがこねずみの宝物になり救われていく、とても心があたたまるお話でした。
今回はクリスマスを過ぎてから読みましたが、クリスマスの時期に定番で読みたい絵本になりました。 (カームくんさん 40代・ママ 女の子6歳)
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