![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
日本にもファンが多い、コールデコット賞受賞作家のルイス・スロボトキン作品に、ほのぼのとした幼年童話が加わりました。 1963年にアメリカで出版された作品のこみやゆうさんによる初邦訳です。
主人公はイタリアの村に住むルイージという男の子。 ルイージは毎週末、バスで10分ほどのスイスの町へ国境を越えてバイオリンをならいに通っていました。 タリアティーニ先生はもうおじいさんですが、このあたりではいちばんゆうめいなバイオリンの先生なのです。
土曜日になると決まって黒いバイオリンケースとお弁当、おかあさんがデザートに先生と食べなさい、と持たせてくれたケーキを抱えてバスに乗るルイージは、今まで国境の兵隊さんに荷物をとがめられたことはありませんでした。 でもある日、いじわるな兵隊さんがルイージの荷物をあけさせるようになって……。
ルイージのバイオリンをひどい音で弾いたり、大事なケーキを押しつぶしたり! それが何週間もつづき、ついに大きなシロップ漬けさくらんぼを勝手に食べられてぐちゃぐちゃのチョコレートケーキを見たタリアティーニ先生は、腹を立ててこう言いました。 「もうがまんならん! こうなったら、わしもバスにのるぞ!」 さあ先生の仕返し、いや、「とくべつレッスン」がはじまります……!?
うきうきする軽やかなタッチ、きれいな色合いのカラー挿絵たっぷり! じつはなぜ兵隊さんが荷物をあけさせるかというと、国境を越えて高価な物を売買する密輸人をさがすためだったのですが……さて結末はいったいどうなったのでしょうか? 「イッター―!!」と大声をあげたのは誰だったのか? いじわるな兵隊さんの言動をおおげさに読めば、子どもウケもばっちり、間違いなし! 親子で読むのもおすすめ、総ルビなので小学生低学年の一人読みにもおすすめです。 お話の最後まで、ユーモラスな空気が絵と文章からあふれます。 思わずくすくす笑いたくなるような、さわやかな気分で読み終えられるお話です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
ルイージは、国境の近くの村にすむ男の子。毎週土曜日、バスにのってとなりの国にバイオリンを習いに通っています。いつも、バスにはへいたいさんが乗りこんで、密輸をする悪い人はいないか調べます。あるときから、鼻の長いへいたいさんが乗りこんで、ルイージのサンドイッチの中身をのぞいたり、ケーキをぐちゃっとつぶすようになりました。バイオリンの先生は、そのへいたいさんをこらしめようと…? カラー挿絵たっぷりの幼年童話。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
こみやゆうさん訳の本を勉強しようと思い手に取った一冊です。
あっという間に話に引き込まれ、理不尽な目に遭うルイージと同じ気分に。
これと同じようなことはなくとも、意地の悪い大人に、現在大人である私も遭遇することがあります。
ルイージ同様にそんな時どうふるまえばいいのか?でもいじわるな人と同じ土俵で戦いたくもない。うまく切り返すって難しい。
でも、ルイージのバイオリンの先生は違います。そのこらしめ方の見事なこと。痛快で、胸がすきました。
読み終わっての、満足感、いや心の満腹感たるや半端ない。ああ良いお話に出会えてよかった、読んでよかったと。
こういうお話に出会えた日はこの上なく幸せな気持ちになります。
テスト期間中の高校生の息子に「この本おもしろかったよ」とつい勧めてしまいました。
最近までバイオリンを習っていた息子とこの本を一緒に楽しめたらなあと思ったからです。
息子に限らず、「なにかおもしろい本ない」と聞いてきた子どもたちにお勧めしたいって思いました。 (はなびやさん 50代・ママ 男の子15歳)
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