
千年もみじをあおぐと、体の中まで紅い色にそまりそうだった――
春は緑に秋には紅く、息をのむ色にそまる千年もみじ。 じいちゃんのにいちゃんは、戦争にいく前、山へ千年もみじに会いにいった。 南方へ連れて行かれ、そのまま帰ってこなかったにいちゃん。 今年も千年もみじはみごとに紅葉した。 「生きているってすごい」――じいちゃんの話を聞きながら、ともあきは幹にそっと耳をあてた。

透明感のある、心洗われるような、詩画集のような絵本ですが、書かれている話はとても重い内容でした。
戦争に行って帰ってこなかった当時21才の喜一さんは、どんな思いで千年もみじと会話していたのでしょうか。
過疎の村の山に人知れず立っている千年もみじと、孫世代のともあきはどんな出合いをしたのでしょうか。
戦争の記憶を静かに語りながら、とても澄んだ気持ちにさせてくれる絵本でした。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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