![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
日暮れ時、はたけ仕事をしていた清作はおかしな声を出す男に会う。その背の高い画かきは、怒っていたかと思えば笑い出し、柏の木大王に招待されたから一緒に行こうと清作を誘う。 柏林に到着すると、林中の柏の木が気味の悪い声を出し、清作をおどす。 「せらせらせら清作、せらせらせらばあ。」 それもそのはず、清作は木こり。木を切るのが仕事なのです。 「おれはちゃんと、山主の藤助に酒を二升買ってあるんだ。」 清作が言えば、柏の木大王は答える。 「そんならおれにはなぜ酒を買わんか。」
そんな時、大きな月がのぼり、夏のおどりの第三夜がはじまった。 柏の木どもは、みんな順に自作の歌を歌い出す。 画かきは一等賞から九等賞までメダルをやると言う。 そこに年寄りのフクロウが参加するとやってきて・・・。
月夜の晩の幻想的な出来事。 赤いトルコ帽をかぶった画かきは一体誰なのか。 夏のおどりの第三夜とはどんなお祭りなのか。 霧が落ちてくるとどうなるのか。
なんだかはっきりしないまま、ふわふわと物語を読み進めながら、 それでも柏の木たちの歌自慢に、だんだん楽しくなってくるのです。 「赤いしゃっぽのカンカラカンのカアン。」 人と自然の不思議な関係。賢治の目には、こんな情景がいつも浮かんでいたのでしょうか。
小林敏也さんの、こだわりぬいた色味や用紙やインクで表現された絵や装丁が、よりいっそう雰囲気を盛 りたてます。特に最後の場面の美しい表現では息をのみ・・・。大人になるまで味わえる「宮沢賢治の画 本」シリーズは贅沢な絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
清作は柏の木大王に招待されたという画かきに連れられて林の中へ。そこでは柏の木たちの夏のおどりの第三夜がはじまり、みんなが順に歌いだす…。幻想的な夜を、用紙やインクにまで趣向を凝らして表現した逸品です。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
不思議がいっぱいのお話です。清作はどうして日暮れの道を、不思議な絵かきに連れられて、暗い林の中に入っていったのでしょう。
トルコ帽の絵描きはどんな男なのでしょう。
その訝しげな導入が、清作と柏の木々とのかけあいの歌合戦が興に乗るにつれて、どうでも良くなりました。
幻想的で、ユーモラスな舞台劇のようなお話です。
小林敏也さんの版画絵が物語を包み込んで、とても贅沢な空間を作っています。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
|