ドーン グラグラグラグラ 海の向こうの島が、火をふきました。 ドングリたちが、いっせいに歌いだします。
「あかい ひを ふく あの しまへ、 とうとう たびだつ ときが きた。 さあ、いこう。ひの しまへ。 さあ、いこう。うみを こえて。 ドングリ、ドングラ、ドングリ、ドングラ〜」
あっちの森からも、こっちの森からも、ドングリたちが集まってきて、声を上げ、歌い、次第に大きな隊列になって、海へ向かって歩き出します。 ドングリたちの長い長い旅の始まりです。
コナラ、カシ、クヌギ、シイ、カシワ、アベマキ、トチノミ、クリ、松ぼっくり。大きさも形も様々なドングリたち。種類ごとに揃えた装備は、槍や葉っぱの盾、旗、農具や楽器、手に持っているものも様々です。古代兵風、十字軍風に鼓笛隊風に原始人風・・?個性豊かで賑やかな隊列に理屈なしにワクワクしてしまいます。ドングリの殻斗(帽子)にちなんだ衣装のデザインや、隊列の中のドングリたちそれぞれのユーモラスな動きを眺めるだけでも楽しい!
けれども旅は過酷です。リスと戦い、雪山を越え、砂漠を渡り、途中で仲間を失うこともあります。長い旅の果て、ドングリたちは「火の島」にたどりつけるのでしょうか。そして彼らの旅の目的は・・・?
懸命に目的地を目指して進む彼らの姿に、いつのまにか皆、ドングリ、ドングラ〜、ガンバレ〜!と応援してしまうはず。そして読み終わると、心に小さな希望の種をもらったような何とも清清しい気持ちになります。 作者は「新幹線のたび」、「決戦!どうぶつ関ヶ原」(講談社)、「びっくりゆうえんち」(教育画劇)のコマヤスカンさん。 画面のすみずみまで細かく描き込まれた絵を楽しみながら、小さなドングリたちの冒険の世界にどっぷり漬かってみてください。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
「ドーン!グラグラグラ」。海の向こうの島が、赤い火をふきました。それをみたトチノミたろうは、ドングリたちによびかけます。「ぼくらのたびをはじめよう!」と。すると、あっちの森からもこっちの森からも、数えきれないほどのドングリがあつまり、歌いながら進みはじめます。おそいかかるリスをはねのけ、雪山や砂の丘を越え、海を渡って、ついに、島にたどりついたとき、ドングリたちは…。 『新幹線のたび』のコマヤスカンの、渾身の物語絵本! 何百ものドングリたちの、山あり谷ありの大冒険スペクタクル! その一心不乱な姿は、個性豊かでどこかユーモラス。見ているだけで、あっという間に時間がたってしまうほど、すみずみまで描きこまれています。誰の心にも、希望と勇気がそっと芽を出すようなラストから、あなたは何を感じるでしょうか?
4歳の息子と読みました。
彼は、ご多分に漏れずドングリ類が大好き。
近くの公園のNPO法人がドングリを種類別に展示してくれているのですが、
いつもそれに釘付けです。
この絵本は独特の世界観です。
外国の昔話のようでもあり、今っぽく発砲スチロールの箱が出てきたり、
自然に触れる話のようでもあり、
冒険ものでもあり、
細かく描かれているのでウォーリーを探せ的な遊びもできるという。
素敵な私好みの絵本です。
「ドングリ、ドングラ〜」というかけ声もいい。
設定が細かくなされ、コマヤスカンさんのこの絵本に対する世界観が詳細に作り込まれていると感じられます。
個人的に面白かったのは、「気が緩んで芽が出てしまった」実たちが、
これ以上進むことができなくて、泣いているところ。
それから、海をわたるのに発泡スチロールの箱を船代わりにしているところ、などなど。
息子も楽しかったようで、ページ毎にいろいろ「●●がころんでいる」など
見つけては私に教えてくれました。
トチノミたろうの、姿形、服などが、ちょっとアンパンマンに見えてしまったけれど。
これ、欲しいです。 (トゥリーハウスさん 40代・ママ 男の子4歳)
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