冬の夜更け、女の子と父さんは、みみずく探しに出かけます。 降り積もった雪を踏みしめながら、女の子は父さんについていきます。 「ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーう」 と、父さんは、わしみみずくの歌声でよびかけます。 あえたりあえなかったり――それがみみずく。みみずくに会いたいなら静かにしてなきゃ。 兄さんたちに教わったことををしっかり守りながら、女の子は寒さを我慢して父さんについてゆきます。 「ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーう」 ついにみみずくの返事が聞こえ、しばらくして二人の前にみみずくが姿をあらわします。
一面の雪で、息を呑む景色。 ダイナミックな構図の絵がひたすら美しい絵本です。 父さんと一緒にみみずくに会いにでかけるこの夜を、ずっとずっと待っていた、そんな女の子の気持ちがよく伝わってきます。 寒くて大変なんだけれども、ちょっと背伸びして、みみずく探しのルールを心の中で繰り返す、そのわくわくした気持ち。 そしてとうとうみみずくが現れ――じっと見つめあうその瞬間の胸の高鳴り。 クライマックスでページいっぱいに描かれるみみずくの姿は、どこか神聖な雰囲気が漂います。 大自然への敬いが感じられ、読んだ後スーッと気持ちが澄んでくる、そんな作品です
1988年度コルデコット賞受賞の名作です。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
月夜の雪の森で、わしみみずくに会った少女の胸の高鳴りと、大自然との交歓をみごとに描く詩の絵本。
読み聞かせボランティア養成講座があり、そこで読んでいただいた本です。
女の子がお父さんと一緒に雪の森の中に行き、みみずくを見るお話です。
そう書いてしまうと身も蓋もない感じですが、文章が詩で、雪の清浄さ、雪の森の静謐さが感じられます。
まるで、女の子と自分が同化したかのように、雪道のぴーんと張りつめた寒さや初めての感動やわくわく感がありました。
機会があれば、大人の方も読んでもらう機会をもたれるといいなと思った本です。
小学校の教科書に採用されていることもあるらしく、主人公の女の子は低学年ぐらいだと思いますが、この本の情感がわかるのは、高学年または大人かなと思います。
講師の先生は、6年生の教室で読まれたとか、お父さんが「ほーほー」とみみずくの鳴き声で呼びかけるところで、絵本なんてという顔をしていた子どもたちも、そっぽを向かずに絵本に集中しだしたのだとか。
時期的に冬の時期がぴったりです。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
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