昔、不思議な術をつかうチョンウチ道士が住んでいました。ある日、山のふもとから泣き声が聞こえてくるので行ってみると、そこには目の見えないお母さんと腹をすかしたハンジャギョンという男がたおれていました。 哀れに思ったチョンウチ道士は、着物の袖から掛け軸を取り出します。「この掛け軸を部屋にかけて蔵番をよびなさい。そして1日1両だけもらうようにしなさい」。掛け軸には蔵と蔵番がポツンと描かれています。 ハンギョンジャは掛け軸を壁にかけて恐る恐る声をかけてみました。すると、「ははぁー」と男の子が現れ……。 掛け軸に描かれた蔵の門を出入りするという奇想天外な世界。絵本で味わう韓国のファンタジーです。
韓国の方の絵本を読むのは初めてでしたが、素直に面白かったです。
父親に死なれ、目の不自由な母をもった男・ハンジャギョンが、泣いて悲しんでいるのを見兼ねた道士(修行をして、超能力のような力をもった人)は、ハンジャギョンに不思議な掛け軸を渡します。
その掛け軸には、大きな蔵と門番が描かれていて、絵の中の門番にお願いすると、蔵の中からお金をいただけるようになっているのです。
同士はくれぐれも、暮らしに必要な分だけのお金(一日1両だけ)を出すように諭しますが、次第に欲が膨らんだハンジャギョンは、一度にたくさんのお金を要求します。
その為に、掛け軸の不思議な効果はなくなり、ハンジャギョンは痛い思いをすることになってしまいますが、母を想う気持ちが残っていた為、もう一度、命だけは同士に救われたという、儒教の国ならではの作品でした。
筆で描いたような絵が特徴的で、私の好みとしては、掛け軸の中の門番が可愛かったです。
(てんぐざるさん 30代・ママ 女の子9歳、女の子4歳)
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