不思議なやさしさのあるファンタジー絵本
没後12年たった今でも、安房直子さんの不思議な魅力は衰えることなく、その世界は、読む人の心を引きつけ、解放してくれる魔法の空間です。子どもから大人まで、幅広いファンに支えられ、今なお、多くの作品が、読まれています。 安房直子の絵本としてこれまで、『山のタンタラばあさん』、『くまの楽器店』を出版しており、好評いただいています。3作品目として、『ひめねずみとガラスのストーブ』をラインナップいたします。 この作品は、1969年『目白児童文学』に発表され、その後は、どこにも掲載されずに埋もれていた作品です。今回、スロヴァキア在住の降矢ななさんのすばらしい絵でよみがえりました。 風の子のくせに寒がりのフーは、くまのストーブ店でガラスのストーブを手にいれます。美しいストーブに火をつけて暖まっていますと、ひめねずみがやってきました。「お日さまがおっこちてきたのかと思った」ガラスのストーブは、心まで温かくなるようでした。時間と空間をこえて旅をするうちに、フーは大人へと成長していきます。 心いやされるお話しの世界は、こどもから大人まで堪能できるでしょう。
編集者からのおすすめ情報 ふんわり浮遊感のある独特な安房直子さんのファンタジーの世界を、降矢ななさんが、奥行きのあるすばらしい絵で表現してくださいました。とにかく読み応えのある心に残る絵本です。
全ページ試し読みで息子達と一緒に読ませていただきました。
風の子・フーとひめねずみの出会いと別れ、かなわなかった再会が、切なく胸に響くストーリー。
ふたりをつなぐ、炎が透けるガラスのストーブが強く印象に残りました。
ガラスの持つ美しさ、透明感、儚さ、割れてしまったら元には戻れないというイメージが、このお話を象徴しているような気がします。
降谷ななさんの絵が、安房直子さんの世界に本当にぴったりでした。
好奇心を抑えられずに旅立つフーをひめねずみが見送る場面で
小2の息子は、私や弟に悟られないよう、声を殺して、あさっての方を向いて涙をぬぐいながら号泣していました。
こんな物語に感情移入できるようになったのか、
こんな泣き方をするようになったのか、とそちらも感慨深かったです。
年長の息子は、兄が泣いていることにびっくりしていました。
ふふふ、君にはまだ分からない「切なさ」という感情があるのだよ。
最後、フーの成長に感じ入ってしまったのは親の私の方でした。
ずっと心に残りそうな、そんな作品。
小学校中学年位から大人の方におすすめです。 (ランタナさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子5歳)
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