むかしむかし、とても美しい12人のお姫様がいました。ところが、お姫様たちには不思議な謎がありました。朝になると、お姫様たちの靴はまるで一晩中踊り続けたようにぼろぼろになっているのです。王様は国中におふれを出し、謎解きをしてくれた者に褒美を与えるというので、何人もの王子が挑みましたが、成功する者はいません。そうして、ある貧しい兵士が挑戦することになりました。兵士は、老婆からもらった知恵と魔法のマントを使い、真夜中、美しく着飾ったお姫様たちの後をつけるのに成功したのでした。さあ、お姫様たちが出かけていった先は…。
グリム童話のこのお話は、エロール・ル・カインの繊細で豪華な絵によって、さらに魅力が増したと言えるでしょう。お姫様のドレスや宮殿、森などの風景描写は息をのむ美しさ。アールヌーボーや中近東の繰り返し文様などの要素も自在におりまぜたエロール・ル・カイン独特の表現をたっぷりお楽しみください。矢川澄子さんによる翻訳も、賢いお姫様たちの雰囲気を見事に伝えています。大人の女性も楽しめる、深みのある作品です。
(長安さほ 編集者・ライター)
12人の美しいお姫さまのくつが、朝になるといつもぼろぼろになっているのを不思議に思った王様が、この謎を3日以内に解いた者に国をつがせるとおふれをだします。そして一人の貧しい兵士が名のり出ました。4、5歳から。
グリムの昔話です。
お姫様や王子が出てきて、おとぎ話の要素が強いイメージですが、幼い子というよりは、高学年または大人も充分に楽しめると思います。
ル・カインの絵が、その年齢の読者にも訴えかける、鑑賞にも充分にたええる美しさです。
ドラマチックなストーリーに調和しています。
おすすめです。 (ピンピンさん 50代・その他の方 )
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