子どもの頃、暖炉の前で、ばあちゃんに絵本を読んでもらった。 絵本の中でオオカミはいつも悪者なんだって。だけど、ばあちゃんが言ってた。本当にこわいのはオオカミじゃなくって、オオカミのおなかをさいて石をつめこんだり、鍋で煮て食っちゃうやつらなんだって!
ばあちゃんからそう読み聞かせしてもらって育ったのは主人公のオオカミ。 今日もおなかを空かせて、こわいやつらに気をつけながら狩りに出かけます。 そこに現れたのは、まるまる太った3びきのこぶたちゃんたち。これはたまりません、美味しそう。しめしめ、でかいの、ちゅうくらいの、ちいさいの!これはまさに絵本で読んだ「3びきのこぶた」じゃないか?オオカミは早速絵本をとりだして、注意深く物語を読み返します。そうそう、絵本によると、このちいさいやつが要注意人物なんだよ!こいつの家に煙突から入ったら鍋で煮られて食べられちゃう。オオカミは、絵本でしっかりと注意ポイントを押さえながら万全の対策を施そうとするのですが・・・。物語は、読者とオオカミの想像をはるかに超える思わぬ展開で爆笑の渦を巻き起こしちゃうのです!なんたって、「3びきのこぶた」から「7ひきのこやぎ」「赤ずきん」たちまで登場してきちゃうんですから。
この絵本がデビュー作となる重森千佳さん。 美しく丁寧に描かれたおとぎ話の世界を舞台に、絵本をマニュアルに、狩りをしようとする弱気なオオカミとオオカミ対策に余念がないたくましい登場人物たち。一度読んだら、ぐっと世界に引き込まれてしまう先の読めないストーリー展開と人間味のある登場人物たちのコミカルでシニカルな表情がなんとも魅力的、何度読み返しても、笑い転げてしまいます。おとぎ話を知ってれば知ってるほど、この面白さは病みつきです。 でも、さすがにちょっとオオカミさんもかわいそうな気がするのですが心配ありません。裏表紙を見ると、もうつぎの獲物を求めて狩りに出かけているみたいですから。 でも、「おおかみだって きをつけて!!」。もちろんその手には絵本がひろげてありますけどね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
あかずきん、三びきのこぶた、そして七匹の子やぎ… いつだって、おおかみは悪役だけど… そんな悪役にだって、危険はいっぱい! 名作絵本の世界を舞台に繰り広げられる、スリル満点の駆け引きの結末は!?
ヨーロッパの昔話では、おおかみが悪の象徴として使われることが多いです。
特に有名なのは、おおかみと3びきのこぶた、おおかみと7ひきのこやぎ、赤すきん。
この3つのお話のパロディ絵本です。
昔話は昔話として、楽しんだあとに、おすすめです。
パロディとして、丁寧に作られていて、パロディというものの魅力が秀逸です! (ピンピンさん 50代・その他の方 )
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