【内容】
レモン24ページ分の、ビタミンC配合。
間違ってレモンを丸かじりした仲間たちの、生の声をお聞きください。
寝ぼけていた。熟れるまで待った。お肌のために食べた。きっと美味しいと思った…それぞれの仲間たちのスッパ体験。ぜんぶ読み切ると、きっとあなたもレモンを丸かじりしたくなるに違いない。
文:越野 民雄 絵:高畠 純
【感想】
笑った!ユーモアと皮肉が効いた、大人も楽しめる作品。まるで前衛的な外国の芸術作品を見ているようでもあり、大人向けの強烈なギャグマンガを読んでいるようでもあり、一気に人生の憂さがふっとぶ爽快感・満載。レモンのリフレッシュ効果を実感できる。
登場人物は人間ではないけど、どれも「あ、あの人に似ている!」「こういう人、いるよね〜」と想像できて楽しい。言葉が少ないのに、ありありとその人の性格や暮らしや対人関係なんかが想像できてしまう。実際に声を出して読んでみたら、一人で何人分もの人生を体験できるかもしれない。のんびり屋さん、くいしんぼう、うっかりもの、お肌の曲がり角の熟女たち、…一番最後の人たちが、一番人生を楽しめるかもしれない。どんなふうな感じかは、是非とも本を読んでみて確認してね。
世の中でこれほど誤解の多いものも、なかなかないかも。自分も子どもの頃、レモンを美味しいもの、甘いもの、素敵なものだと思っていた。メディアではレモン=カッコいい、爽やか、美人の素(ビタミン)などと煽り立てているし、レモンを使った飲み物なども華やかな印象づけをしようとして、素敵な感じを演出していた。でも、本物のレモンは酸っぱい。子どもの舌には酸っぱすぎて、食べ物として受け入れがたかった。そんな酸っぱい思い出を思い出して、思わず笑ってしまう。これからそんな体験をなさる人たちがいると思うと、なんだかおかしいようなうらやましいような…初体験はどんなんですか?