新美南吉の短編童話「あめだま」と「げたにばける」の2編が収録されている絵本です。どちらもさむらいが主人公なのですが、長野さんの絵は、<おさむらいさん>という響きがぴったりな感じです。
「あめだま」は、幼い二人の子を連れた母親の乗る渡し舟に、いかめしいさむらいが同乗する話。さむらいが居眠りをしている最中に、子ども達が、あめだまをめぐって騒ぎ始めます。
「げたにばける」は、下駄の緒を切って困っているさむらいが、道ばたに落ちていた下駄に履き替えるのですが、この下駄は、子狸が化けたものでした。
どちらも、さあ、どうなる!という気持ちの盛り上がる、よくできた話です。その中に、人間の親子、たぬきの親子のふれあいが、温かく描かれ、さらに<さむらい>という素材が存分に生かされています。
早く子どもの前で、やってみたいものです。
「あめだま」は紙芝居にもなっているとのこと。ぴったりのネタだと思います。