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このお話は、蟹の親子が川の中から見上げる世界で、自然界のいろいろなものを見聞きして育っていくお話です。 さりげないお話の中に宮沢賢治の宇宙観のようなものが備わっていて、描く人によって様々な世界を見せてくれるように思います。 そんな意味で、川上和生さんの絵は、「やまなし」に新しい世界を作ってくれたような映像感があります。 澄んでいて静かで、奥深いものがあります。 このような世界を見上げられる、蟹の兄弟は幸せだなぁと思いました。
投稿日:2022/12/13
小学校の国語で習ったこの物語に、 こうして再会できて嬉しいです。 当時は、その不思議な世界に魅了され 国語の時間はもちろん、その他の時間にも 「クラムボンって、なんだろう・・・」と よく“やまなし”の世界を旅していました。 差し込む光、ゆらゆらと揺れる天井、流れてゆく泡・・・。 この絵本を開く前は、 「当時のイメージが壊れないかな?」と少し不安でしたが そんな心配は全く不要でした。 私が探していた世界は、ここです。 目に映った淡く儚いような水の中は 繰り返し想像をしていた、まさにその場所でした。 20年近くも経った今、また当時の気持ちを思い出せるとは思っていませんでした。 再開できて、本当に嬉しいです。
投稿日:2014/07/03
小学生の国語の授業で読んでから「クラムボンって何なのだろう…」と、ずっと思っていました。 大人になって読み返してみても、はっきり何かはわかりません。 泡かな?とは思うのですが… 単純に考えて泡だとすると、かにの兄弟の会話は、いかにも子どもらしく純粋でロマンチックだなぁと思います。 まるで生き物として、クラムボンを見ていますね。 泡の音が、笑い声に聞こえたのかしら… クラムボンはわらったよ クラムボンはしんだよ 泡は儚いものですよね。 掴む事もできないし、 触れても簡単に壊れてしまう 二匹の目には、それが美しくて悲しい不思議なものに見えたのかもしれません。 かにのおとうさんの言葉も、とても印象的でした。 「お魚はこわいところへいった。」は、大人でもドキッとします。 意味がわからない子どもだって、少しはわかっているかもしれない…。 五月のかにの兄弟の会話には、一言も泡という単語が出てきません。 しかし十二月には「やっぱり僕の泡は大きいね。」という会話がされています。 五月のクラムボン、十二月の泡。 これが「クラムボンの正体がわかった」という意味ならば、かにの兄弟もそれだけ成長しているということで、なんだかとても嬉しくなりました。 小学生の頃、やまなしの好きな場面を絵に描くという授業で、私は「川の中に落ちたやまなしを、かにの兄弟が下から見上げている」という場面を描きました。 自分で描いたのですが、今でもその絵が大好きです。 川の中には怖い鳥だけじゃなくて、こんなに素敵なものも降ってくる どの世界にも美しいものと怖いものがあるんだなぁ…と、当たり前だけど改めてそう感じました。
投稿日:2014/06/25
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