1945年7月9〜10日の大阪堺大空襲を描いた作品。
小児麻痺で歩行困難な女の子、もも子が語ります。
体が弱いのに召集されて戦死したおとうちゃんのこと。
隣のいたずらっ子の双子、まさるとまもるのこと。
戦時下で、学校へ行くことも拒否されたもも子の様子も切ないです。
いつもは優しいおじいちゃんが、日に日に気難しく怖くなっていく様子に
戦争の恐ろしさを感じます。
そして、大空襲。
田島征彦さん独特の迫力ある筆致が恐ろしい炎を再現しています。
人形につけられた、ななしのごんべさんというネーミングへの想い、
そして、本当にななしのごんべさんとなったった多くの人々。
戦後生まれですが、小児麻痺である吉村敬子さんの体験と、
おそらく体験者であろう田島征彦さんの双子エピソードがコラボしています。
私の母の実家は、この大阪大空襲のそばで、幸運にも空襲を逃れた地区。
そんな話も祖父母から聞いたことがあったので、余計他人事には思えませんでした。