表紙絵だけ見ると、細かい描写の絵本かな〜と思いましたが、全くそんなことはありませんでした。
文は谷川俊太郎さんなので、多くを語らず、1つの場面ごとに短いフレーズの文章ででビシッと決まっていて読みやすかったですし、
福田岩緒さんの絵も線も色もはっきりしていて見やすかったです。
最初から最後まで「つくる」ことにスポットライトを当てて描かれていますが、
全体の流れは言葉遊びのようだったり、なぞなぞのようだったりしながら、前のページに登場したものと関連性のあるものが作られていくので、科学絵本のようでもあるなぁと、思いました。
ただ、最後は思わぬ方向に進み、谷川さんは聞き手の子どもたちにちょっと重ためのメッセージを投げかけたままラストを迎えます。
この作品が初めて出版された1980年頃は
アメリカ合衆国とソビエト連邦共和国との冷戦時代でしたし、中東戦争も和平案が出されていた頃なので、谷川さんが何を思ってこういうラストにしたのか、気になってしまいますが、1つの作品としてはとてもまとまっています。
読み聞かせにもお薦めですが、ラストのことを考えると、小学校の高学年以上がいいかもしれません。