タイトルに「絵で読む」と書いてあるように、見開きのページ全体に
大きく描かれた絵を見るだけで、状況が読める作りになっています。
西村繁男さんが絵を描かれているので、描写がとても細かいです。
しかも大型絵本ですのでとても迫力があり、ページをめくっていくうちに、
まるで写真や当時の映像を見ているかのような錯覚に陥りました。
この本の絵には、生存者の証言を元に再現された広島の町、そして
そこに暮らす人々の様子が描かれているのだそうです。
この絵の下絵を見た被爆者の方が、「平和教材なのでしょうが、私には
懐かしい風景です」と語ったという記述があり、心が痛む思いがしました。
見慣れた町が、住み慣れた町が、人も家も景色も何もかもが一瞬にして
変わってしまう現実。それが、この一冊に表現されていると思います。
ところどころに、核兵器の原理、放射線障害、原子力発電などの細かい
知識や解説があり、貴重な核問題資料だと思います。
実はこの本、東北関東大震災後に子どもが学校で借りてきました。
以前から原爆について多少興味を持っていることは知っていましたが、
まさかこのタイミングで借りてくるとは・・・。
これを機に、原子力発電についての解説を親子で読み、原発についての
知識を深めていけたらと思っています。