【あらすじ】
ウサギのピモとティッキは、いつか別れなければならない。ピモは地元に残り、ティッキは新天地を求めて冒険に出る。ピモは親友に何かとびきりの贈り物をしたくて、それを探しに行くが、なかなかよいものが見つからない。そして、二人の別れの時は近づいてくるが…
【感想】
二羽のウサギは、野ウサギと耳長ウサギと、種類も違う。体の大きさも、生き方も違う。小さい頃は一緒に暮らせても、いずれそれぞれに合った暮らしを求めて行かねばならない…これは、学校を卒業して、仲の良い友達と別れてそれぞれの進路を進みだすお話ではないかと思った。
地元に残るピモは、何をやってもダメで、いいところが一つもないような愚鈍な感じだった。それでも何かを成し遂げようと一生懸命にやっている姿が感動的。このウサギを見ていると、昔、小学校の頃にいた似たような人を連想する。あの人は、今頃どうしているのだろう?あんなに泣き虫で、だらしなくて、ダメ人間でやっていけるのか?…余計なお世話である。
ピモが贈り物を探す時、カタツムリとカエルと小鳥に尋ねる場面は、民話のような、繰り返しのパターンが効果的。この問答を通して、読者も「本当に大事な友達」のことや、「大事な人にあげる贈り物」についてあれこれ考えさせられる。
小鳥が一番、現実的で残酷な答えを出すところが、パンチが効いている。ハッとするというか、正気に戻るというか、感傷的になりすぎて軽く夢見心地だった自分を反省してしまう。
現実の厳しさを、容赦なく描いている。絵が優しい感じだけど、内容は結構ハード。
それにしても、この二匹はその後、どうなるのだろう?気になる…