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世界の国からいただきます!

世界の国からいただきます!(徳間書店)

世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!

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うごく! しゃべる! ぬりえーしょん 海のいきもの

うごく! しゃべる! ぬりえーしょん 海のいきもの (小学館集英社プロダクション)

お子さまの塗ったぬりえが、アニメーションになる!フランス生まれの画期的なぬりえシリーズ!

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夏の雨

パパ・60代・埼玉県

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夏の雨さんの声

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自信を持っておすすめしたい ボクがキャベツになったら  投稿日:2015/09/27
キャベツくん
キャベツくん 文・絵: 長 新太
出版社: 文研出版
 文学の世界には超ロングセラーというのがあって、漱石の『こころ』や太宰の『人間失格』などは今でもたくさんの人に読まれている。
 それは絵本でも同じで、中川李枝子さんと山脇百合子さんの『ぐりとぐら』は出版されてから50年以上経つが今でも子どもたちの人気の一冊だ。同じように、この『キャベツくん』も、出版されてから30年以上経っても子どもたちの手から手にわたっていく人気絵本になっている。
 「ナンセンスの神様」と異名のある長新太さんの代表作の一つだ。

 この絵本の素晴らしさはなんといっても色使いではないだろうか。黄色を基調にしてとにかく明るい。ページを開くと、元気になる。長さんは色を多く使わないことで広さを表現しようとしたのではないだろうか。
 黄色い空なんてみたことがない。それは主人公がキャベツという不思議感を少しも変な風にしていない。黄色い空の下なら、キャベツの顔をした子どもがいてもおかしくないし、ブタヤマさんというおかしなキャラクターがいても平気だ。
 キャベツくんがキャベツを食べる生き物がどんな風になるか、想像した絵が空に浮かんでも、きっとこの世界では当たり前なのだ。

 「ナンセンス」といえば、そのキャベツを食べたあとの生き物たちの姿だろう。
 はながキャベツになったブタヤマさん。おなかがキャベツになったタヌキ。ライオンの勇ましい顔がキャベツになったり、ゾウのはながキャベツになったり、クジラ全部がキャベツでできあがったり、ページをめくるたびに子どもたちの歓声と笑い声が聞こえてきそうだ。

 この絵本にはなんのひねりもない。
 あの動物はキャベツを食べたらどうなるんだろう。ただそれだけだ。それだけなのに、読者を夢中にさせるのは、シンプルからだ。
 子どもたちはこの絵本で何かに出会って、複雑な世界にはいっていく。
 また、新しい子どもがやってきて、この絵本に出会って、歓声をあげる。
 また、また新しい子どもがページを開く。
 こんなふうにして、きっと読まれてきただろう、絵本のロングセラーだ。
参考になりました。 3人

自信を持っておすすめしたい 冒険の旅へ  投稿日:2015/09/20
あなたをずっとあいしてる
あなたをずっとあいしてる 作・絵: 宮西 たつや
出版社: ポプラ社
 この本の作者宮西たつやさんは『おれはテイラノサウルスだ』や『おとうさんはウルトラマン』といった作品で人気の絵本作家です。その時は、みやにしたつやという名前で作品を発表しています。
 絵本ですから、漢字が混ざると読めない子どももいるという配慮でしょうか。
 この作品では、「みやにし」は「宮西」と漢字表記されています。絵本というより小学生低学年向きの児童書ですから、そうされたのではないかと思っていますが、ちがうかしら。
 絵はみやにしたつやさんそのままですから、幼児の頃に親しんだ子どもたちが少し大きくなって、自分で読んでみたい、と思う時期にぴったりです。
 その時期の子どもって、絵本は卒業したんだい、と主張したい年頃ですもの。

 この物語の主人公はテイラノサウルスの子どもトロン。
 偉大な父ゼスタとやさしい母セラの間に生まれた子ども恐竜です。
 まだ幼い頃母セラは地震で崖の下に転落してしまいます。そして父ゼスタも群れの抗争でバルトという敵に倒されてしまいます。 でも、ゼスタが死んでしまったのには訳があります。そのことは物語の後半に明らかにされます。
 一人残ったトロンは父の仇のバルトと闘いますが、敗れてしまいます。仕方ありません。トロンはまだまだ子どもですから。
 なんとか一命を取り留めたトロンは何人かの友だちと出会い、さまざまな経験をしていきます。
 そして、元の場所に戻っていくのです。もちろん、バルトと闘うために。
 でも、トロンはすっかり大人になっていました。
 トロンはいつしか偉大な父ゼスタとそっくりになっていたのです。

 物語ですから、起承転結のうまい運びになっています。どこまでは物語の始まりで、何が起こって、どういう展開になるのか、そして最後はどうなのか、とてもわかりやすい構成になっています。
 どんなクライマックスが待っているでしょうか。
 こういう物語を読んで、子どもたちは物語の進み方を学んでいくのでしょうが、まず何よりもわくわくすることが大事。
 さあ、あなたもトロンと一緒に冒険の旅へ。
参考になりました。 0人

自信を持っておすすめしたい 子どもたちに伝えないといけないこと  投稿日:2015/09/13
せんそうしない
せんそうしない 文: 谷川 俊太郎
絵: 江頭 路子

出版社: 講談社
 戦後70年を迎えた今年、高齢化によって戦時中のことを知る人が減少していることが問題化している。どのように子どもたちに戦争の悲惨さを伝承していくか。
 それは戦後生まれの私たち全員が考えなければならない問題だろう。
爆弾が落とされ、街が燃え上がったことを知らない私たち。食べ物がなく、飢えてなくなった人がいることを知らない私たち。銃剣で子どもを殺したことも、殺されたこともない私たち。愛する人を戦地に送りだしたことのない私たち。その人が帰ってこなかったことさえ知らない私たち。
 そんな私たちが、どのように戦争はよくないんだよと伝えていけばいいのだろう。

 安保法案を推し進めようとする政治家たちの多くも戦後生まれだ。それでも、戦争までの距離を何歩も縮めようとするのはどうしてだろう。
 知らないからできるのだろうか。
 そうではないような気がする。
 知らなくても、私たちは想像できる。戦争のことを想像できる。燃える街のことも殺したり殺されたりすることも想像できる。
 ちいさなきっかけで。ちいさな言葉で。
 それがこの絵本なのかもしれない。

 詩人のたにがわしゅんたろう(谷川俊太郎)さんがやさしい日本語で、戦争反対をうたった絵本。
 ひらがなだけで書かれてはいるけれど、最初は大人が読んであげるのがいいかもしれない。
 言葉のリズムが子どもたちに想像の翼を広げさせるはず。
 次は子どもたちが自分で読んでみると、いい。声を出して読んでみると、いい。
 想像の翼は、きっと強く大きくはばたくだろう。
 「せんそう しない」。
 書かれていることは、少しも難しくはない。何故、「せんそう しない」かが明確にわかる。
 誰も殺したり殺されくないからだ。
 そんな簡単なことが、国を守るとか子どもを守るみたいな、あるいは法案説明の難解な答弁で歪められていくのは、おかしい。
 子どもたちに国会での大人の声が理解できるだろうか。

 えがしらみちこ(江頭路子)さんの描く、男の子と女の子。
 この子たちの未来を。私たちは守れるだろうか。
参考になりました。 1人

自信を持っておすすめしたい 今日の天気は?  投稿日:2015/09/06
100のたいこのように
100のたいこのように 作: アネット・グリスマン
絵: ジュリー・モンクス
訳: 浜崎 絵梨

出版社: 小峰書店
 私たちの生活に天気は欠かせないものだ。
 毎日、晴れだったり雨だったり、暑かったり寒かったりする。今日は天気がないなんて絶対にない。
 だからだろうか、いつものことながら今年の夏は暑かったのだろうか、去年はどうだったろうかと思い出そうとするのだが、思い出せない。去年まで遡ることもない。今年の夏はどうだったろう。
 猛暑が記録的だった。いや、その前は雨が続いたような。猛暑がおさまったら、台風だらけ。いや、その前だって、集中豪雨で大変だったはず。
 そんなあやふやな気分で、毎日を過ごしている。
 それなのに、人と会ったら、まずは天気の話。「今日はいいお天気で」なんて。

 天気の様を伝えるのは難しい。最近は映像があるから、強い風とか雨でもわかりやすい。台風ともなれば海岸に打ち寄せる波を映せば、台風だとわかる。
 でも、文章にすればどうすればいいのだろう。
 ゲリラ豪雨なんてどう表現するのか。一転にわかに曇りだし、たちまちのうちに大粒の雨が、なんて。
 最近のニュースでは映像の早送り手法で、そのたちまち感を出そうとしている。
 この絵本の作者アネット・グリスマンは「子供に対して、嵐を限られた言葉で的確に表現できるのは、詩だけだ」と語ったという。
だからだろう、この絵本は詩のように語られる。
 広い農園に嵐がやってくる気配が、言葉で綴られていく。
 「大きなカシの木の葉がゆれる/それは しずかにはじまった」。
 これが、この絵本のはじまりだ。

 いやあ、すごい嵐でしたね、で済んでしまう天気の話を、ここではゆっくりと「カシの木の葉」のゆれから見ていく。どんな天気であっても、最初に兆候があるだろう。
 朝焼けを最初にみたのは、海に浮かぶカモメかもしれないし、夕焼けを感じたのは菜園のアリたちかもしれない。少なくとも、私たちではない。
 そういう天気の移ろいを、この絵本は的確に誌的に描いていく。
 そして、雷を「大地にとどろく100のたいこ」を表現する。
 あなたなら、どう表現するだろうか。
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自信を持っておすすめしたい マネはしないで  投稿日:2015/08/30
パンやのろくちゃん なつだよ!
パンやのろくちゃん なつだよ! 作: 長谷川 義史
出版社: 小学館
 夏休みもそろそろ終わり。
 子どもたちは宿題で大忙し。「ねえねえ、お母さん、この夏何をしたっけ、ぼく」なんて聞いている子どもはいないでしょうね。
 誰も教えてくれないよ。
 それでも、思い出せない時は、長谷川義史さんのこの絵本を読んでごらん。何かのヒントになると思うよ。
 「かおがパンパン パンやのろくちゃん」が主人公のこのシリーズは、パン屋の子どもろくちゃんと商店街のお店の人たちの交流を描いて人気ですが、今回の絵本には夏のお話が四つも収められています。

 「なつまつりのきんぎょすくい」「ゆきちゃんさそってプールにいって」「きもだめしでがんばって」「はなびたいかいにでかけたよ」。
 どれも夏の行事を舞台にろくちゃんの変な活躍が楽しめます。
 金魚すくいは、たくさんの子どもたちがしたのではないかな。逃げる金魚を追いかけても、すぐに破けてしまった経験はきっと誰にもある。ろくちゃんの場合は、お母さんに一回しかしてはいけないという約束をお父さんと破ってしまうのだけど、金魚すくいって子どもだけでなく、大人も夢中になるよね。
 そんな光景、見なかった?
 そういうのが、面白い絵日記になったりするのじゃないかな。

 花火のお話は切実。だってろくちゃんがおしっこしたくなって、トイレに行くのですが、長い順番待ちの列が出来ていて、とうとうおもらししちゃう話。まさか、そんな子どもはいないでしょうが、いたとしてもそれは絵日記には書けないよね。
 やっぱり書くとしたら、きれいな花火を見ましたぐらい。でも、長谷川さんの絵本にあるように、花火の音ってとても大事ですよね。 「ドドドドドドドド ドドドドドドドドン ドーン!」
 きっと耳にした時は、もっとたくさんの音が聞こえたはずだよ。そんなところに工夫をしたら、先生にほめられるんじゃないかな。

 この絵本はそんなふうに子どもたちの夏そのもの。大人の読者には懐かしい夏かもしれません。
 でも、これはあくまでもパンやのろくちゃんの夏のお話。
 そっくりマネするのは、よくないからね。
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自信を持っておすすめしたい 悲しみを抱きしめて  投稿日:2015/08/23
おかあさん どこいったの?
おかあさん どこいったの? 文・絵: レベッカ・コッブ
訳: おーなり 由子

出版社: ポプラ社
 愛する人を喪うのはつらい。
 そういう人にどう声をかければいいのか、そばにいてもわからない。
 それが小さい子どもであれば、余計につらい。
 この絵本は、愛する人を喪う悲しみ、それを克服していく過程を描いている。

 雨の告別式が最初の場面。たくさんの参列者の傘の列。父親に抱かれて小さな男の子。そしてそのお姉さん。
 「おかあさん、どこに いっちゃったんだろう?」
 男の子はお母さんの死が理解できない。
 家の中をさがしても、お母さんはいない。お墓の花を替えにいっても、枯れている花を見て、お母さんは取りに来ないと、思うほど幼い。
 男の子はもしかしてお母さんが戻ってこないのは、自分のいたずらのせいかと心配する。
 ある日、お父さんにお母さんはいつ帰ってくるのってたずねてみた。
 お父さんは、男の子にお母さんは死んで天国に行ったのだと教えてくれたが、男の子は天国がどこにあるのかわからない。
 でも、しだいに男の子はお母さんがいなくても、お父さんやお姉さんとやっていかないといけないのだとわかるようになっていく。

 男の子の大好きだったお母さんはもどってくることはない。
 悲しみを小さくしていくことだけ。
 男の子は少しずつお母さんの不在を受け止め、残された家族との暮らしを受けいれていく。
 イギリスの絵本作家レベッカ・コッブは色あざやかな色彩を使いながら、しかもハデにはならないようにして、愛する人を喪ったものがどのようにして立ち直っていくかを見事に描いた。
 日本語訳を担当したおーなり由子はこの絵本の最後にこう記している。
 「のこされたひとは、生きていかなくてはならない。(中略)わたしは、くりかえす毎日の、なんでもない時間にたすけられました」。

 もちろん、何年経っても何十年経っても、悲しみは消えないだろう。それでも少しずつ残された人は前に向かうしかない。
 子どもたちにこの絵本が伝えたいことを教えるのは難しいかもしれないが、きっと子どもたちにもわかるだろう。絵本は心に届くはずだから。
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自信を持っておすすめしたい ぎゃーあ!!   投稿日:2015/08/16
いるのいないの
いるのいないの 作: 京極 夏彦
絵: 町田尚子
編: 東 雅夫

出版社: 岩崎書店
 寝る前に絵本を読んでもらう。最後まで聞いていたためしがない。でも、なんだかとっても気持ちのいい気分になって、うまくいけば夢でもほんわかとした気持ちになる。
 そんな経験をしたこと、ありませんか。
 でも、この絵本はちがいます。
 とってもこわい絵本です。
 夜、寝る前にこの絵本を読んでもらったら、オメメはぱっちりして、最後に出てくる「すごく こわいかお」をした男の顔が忘れられなくなるかもしれません。
 寝れるかな。
 わるくすれば、夢にまで追っかけてきそうじゃないですか。
 お母さん、今日、一緒に寝てもいい?

 何しろ、この絵本の書き手はあの京極夏彦さんなんですから、怖くないわけがありません。
 京極さんは「怪談之怪」発起人だったり、全日本妖怪推進委員会肝煎だったりするのです。きっと怖いものが大好きにきまってる。
 それに加えて、町田尚子さんの絵がすこぶる怖い。天井の高い梁の上の「すごく こわいかお」をした男の顔の怖いことといったら。
 そればかりではありません。猫の使い方がとても怖いんです。読み方によっては、田舎の猫好きなおばあさんの家に来た男の子の話ってことなのですが、たくさんの猫の一匹一匹の表情が恐怖感を忍ばせています。あるいは田舎の庭の間垣に掛けられているゴム手袋だって、人間の手にしか見えないのですから、ページを開くのも怖い。

 都会暮らしになれた子どもにとっては田舎の家そのものに妖しいものを感じ取るかもしれません。この絵本の男の子のように。
 おばあさんは「みなければ いないのと おんなじ」というけれど、男の子は「みちゃう。いるかもなと おもうと みちゃう。みたら。みたらみたら。」
 ― ぎゃーあ!!

 怖がりの子どもは昼間に読みましょう。
 もし、勇気を出して夜に読んでもけっして天井を見たりしないで下さい。
 だって、この絵本から抜け出して「すごく こわいかお」した男が天井からこちらを見ていないとも限らないですから。

 それにしても、怖い絵本です。
参考になりました。 0人

自信を持っておすすめしたい 土の中の世界ものぞけます  投稿日:2015/08/09
ソフィーのやさいばたけ
ソフィーのやさいばたけ 作: ゲルダ・ミューラー
訳: ふしみ みさを

出版社: BL出版
 小さな菜園を始めて4ヶ月が過ぎました。
 トマト、キュウリ、ナスといった夏野菜の収穫も最盛期を終え、そろそろ次の季節の野菜の準備が始まります。
 野菜と絵本という取り合わせもなかなかなもので、それは子どもと野菜の取り合わせがいいということの証明かもしれません。
 野菜が嫌いな子どもは多いですが、野菜を育てることで野菜の素晴らしさに触れることができるような気がします。自分が育てた野菜だから、本当の味がわかる。
 菜園で楽しそうに収穫している子どもたちを見て、そう感じるようになりました。

 この絵本は当然子ども向けに描かれているのですが、とってもしっかり野菜のことが描かれています。
 夏休みにはいった主人公の女の子ソフィーは田舎のおじいちゃんおばあちゃんのところに行きます。そこには広い畑があって、町のスーパーで売られている野菜の姿しか知らなかったソフィーを驚かせます。
 その畑でソフィーはいろんなことを学びます。
 例えば、テントウムシのこと。テントウムシは野菜についたアブラムシを食べてくれるということ。実際アブラムシはたちまち葉を真っ黒にしてしまうくらいの勢いがありますが、テントウムシが退治をしてくれます。テントウムシは姿もかわいくて、子どもたちも大好き。それに野菜にとって正義の味方だとくれば、子どもたちの目の色も変わります。
 そういう話も、この絵本にはきちんと描かれています。

 畑は暑い日もあれば雨の日もあります。強い風が吹く時もあります。
 そんな時それぞれに野菜の顔があります。風で倒れてしまったトウモロコシのこともこの絵本では描かれています。
 作る人の大変さがソフィーには徐々にわかってきます。
 夏だけでありません。冬の準備をする時のこと、雪の日の畑のようす。一年を通じて畑の表情が変わっていきます。

 この絵本にはとても大きな特長があります。
 野菜たちの姿が地上だけでなく、地中の根の様子まで描かれていることです。きっとこの絵本を読んだ子どもたちは、土の中で育つ野菜は見えないけれど、「知ってる」ってちょっと自慢したくなるのではないでしょうか。
参考になりました。 0人

自信を持っておすすめしたい 大人に読んでもらいたい絵本  投稿日:2015/08/02
なぜ戦争はよくないか
なぜ戦争はよくないか 作: アリス・ウォーカー
絵: ステファーノ・ヴィタール
訳: 長田 弘

出版社: 偕成社
 「なぜ戦争はよくないか」、とってもシンプルだけど、とっても深い問いかけだ。
 作者のアリス・ウォーカーは『カラーパープル』で黒人女性として初めてピューリッツァー賞を受賞した作家でもある。
 この作品は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件のあと、アメリカが行った報復戦争に衝撃を受けたアリスが書きあげたものだが、その時の戦争だけを否定しているわけではない。
 今まで人類が経験してきた、そしていまだに終わることのない「戦争」全般について、アリスは書いている。

 まるで一つの物体のように描かれる「戦争」。
 日本語訳は今年5月に亡くなった詩人の長田弘さんだが、「戦争だって じぶんの考えをもっているわ」と綴られる。だけど、「戦争」は「じぶんがいまおそおうとしているのが だれなのか」を知ろうとしない、と続く。
 だったら、戦争って何だろう。
 人は「想像力」をもっている。遠い国の人たちのことも想像できるし、カエルの世界だって想うことはできる。だから、本当は爆弾で逃げまどう人々の悲しみも、タンクの下敷きになるカエルの気持ちも想像することができるはずだが、「戦争」はそれすれ知ろうとしないのだ。

 「戦争はたくさん経験を積んでも すこしも賢くならない」。
 経験を積めば、よくないこととかしてはいけないことはわかるのが、人だ。
 原爆でたくさんの人が亡くなって、そういうことを経験した人なら、もうああいう武器は使ってはいけないと、考えることができるのが、人。でも、「戦争」はそういうことを考えない。

 そんな「戦争」って誰が生み出しているのだろう。
 「想像力」も「経験知」も持った人間が「戦争」を生みだしているなんて、「戦争」以上に人間って怖い。
 それでも、そうじゃないということができるのも、人間だ。
 アリスは、そうじゃないといえる人。
 世界中を巻き込んだ大きな「戦争」から70年が経って、もしかしたらまた「戦争」を私たちは生みだしかねないところに来ているのかもしれない。
 その時、自分はアリスのように、きちんとそうじゃないといえる側にいれるだろうか。

 絵本の形になっているけれど、子どもだけでなくおとなにも読んでもらいたい。
参考になりました。 0人

自信を持っておすすめしたい この子たちが願ったこと  投稿日:2015/08/01
いしぶみ
いしぶみ 編: 広島テレビ放送株式会社
出版社: ポプラ社
 私は昭和30年に生まれました。「戦争を知らない子供たち」なんて歌っていたけれど、何のことはない、戦争が終わってたった10年しか経っていません。
 子どもの頃には戦争で怪我をされた傷痍軍人たちの姿はよく見かけました。軍歌を唄う大人たちはたくさんいました。そりゃそうだ。私が生まれたのは、戦争が終わってたった10年なんですから。
 もし、この本の少年たちが生きていたとすればまだ83歳です。私と23歳しか変わらない。
 この少年たちは、あの日を境に13歳の命を終えて、それから10年後に生まれた私は、60歳になりました。
 私は戦後わずか10年で生まれたのです。

 この本は、広島テレビが昭和44年秋に制作したテレビドラマの草稿をもとに書かれたものです。その時の様子を当時のプロデユーサーだった薄田純一郎氏が「あとがき」に書いています。構成を松山善三氏が、朗読を女優の杉村春子さんが務めたそうです。
 番組は多くの視聴者の涙をよび、その年の芸術祭優秀賞を受賞しています。
 描かれたのは、昭和20年8月6日の広島。原爆が投下された日。この日、広島二中の一年生321人と4人の先生は空襲の備えた家の取り壊しあとの片付け作業を行うため、広島本川の土手に朝集合していました。
 そこに原爆が投下されたのです。
 多くの学生、といってもまだ子どもですが、遺体もわからないまま亡くなりました。なんとか家にたどりついた学生もいます。しかし、誰一人助かった子どもはいませんでした。
 ある子どもは友だちの名前をいって亡くなりました。また、ある子は、母さんといって亡くなりました。ある子は「天皇陛下万歳」といって亡くなりました。
 その子どもたちには、もっとたくさんの命の日々があったはずです。
 けれど、その死の消息さえわからないままの子どもたちがたくさんいます。
 そんな子どもたちを救ってあげられなかったと嘆く父母。子どもたちを見つけてあがれなかったと慟哭する家族。

 広島二中の子どもたちを慰霊する「碑(いしぶみ)」に込めた思い。石のようにそれは強固に未来まで風化させてはなりません。
 本に載った、あの日の子どもたちの写真は、あの日がなければ、どこかですれ違っていたかもしれない人たちだと思うと、今、生かされている意味をしっかりと掴まないといけないと思うのです。
参考になりました。 1人

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