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夏の雨

パパ・60代・埼玉県

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夏の雨さんの声

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自信を持っておすすめしたい アンクルトリスだけじゃなく  投稿日:2015/11/22
ミニえほん やさいだいすき
ミニえほん やさいだいすき 作: 柳原 良平
出版社: こぐま社
 この小さな絵本の作者、柳原良平さんにことを話しましょう。
 柳原さんは今年(2015年)8月17日に亡くなりました。奇しくもその日は柳原さんの84歳の誕生日でもありました。
 柳原さんといえば、誰もが「アンクルトリス」を思い出します。
 子どもたちに「アンクルトリス」といってもわからないでしょうが、サントリーという洋酒メーカーのCMに登場した人気キャラクターです。その頃、サントリー宣伝部には開高健や山口瞳といった文章の達人がたくさんいました。彼らが作りだすコピーに柳原さんが描くイラストはとてもマッチしていました。
 洗練された細い線、大胆なディフォルメ。
 お酒を飲む人にとって、柳原さんの「アンクルトリス」ほどなじみのキャラクターはいませんでした。

 それだけではありません。
 柳原さんは船が大好きで、船のイラストや絵本もたくさん描いています。
 そこでも柳原さんの線は柳原さんのままです。
 そんな柳原さんのこの絵本を見つけて、うれしくなりました。
 これは、野菜の絵本です。
 単純素朴に野菜が描かれています。丸っこい、くるりとした目をしただいこんが赤一色の背景に一本だけ描かれています。そえられた文は「だいこん いっぽん」、それだけ。
 次のページには、二本のにんじん。そのうちの一本は、目をつむっています。そのまつげが長い。こんなところにも、柳原さんの絵の特長がでています。

 きゅうり、かぼちゃ、たまねぎ、トマト、じゃがいも、ねぎ、ごぼう、れんこん、なすび、とうもろこし、ピーmン、きゃべつ、いんげん、えんどう、そらまめ、ほうれんそう、とさまざまな色と形状をした野菜が描かれていますが、そのどれもが柳原さんの絵のタッチなんです。
 そして、たくさんのやさいが並んだお店にやってくる、男の子とお母さん。
 買い物するお母さんも料理をするお母さんも、どうしてか目をつむっています。
 柳原さんにとって、目をつむるというのはやさしさを表しているのかもしれません。

 今夜のおかずはなんでしょう。
 そこに「アンクルトリス」が帰ってきてウイスキーを飲む、なんてことは、さすがに絵本ですからありません。
 でも、柳原良平さんは、ここにいます。
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自信を持っておすすめしたい なんのために生まれて  投稿日:2015/11/20
勇気の花がひらくとき やなせたかしとアンパンマンの物語
勇気の花がひらくとき やなせたかしとアンパンマンの物語 文: 梯 久美子
出版社: フレーベル館
 まんが家やなせたかしさんが亡くなったのは2013年10月13日。享年94歳。
 こんな話を聞いたことがあります。
 『アンパンマン』のあんこって、粒餡なのかこし餡なのか。答えは、粒餡というのが絵本・児童書の出版社フレーベル館ではいきわたっているそうです。理由は、やなせさんがこし餡が嫌いだったとか。
 でも、アンパンマンのあんこには粒粒が描かれていないから、こし餡ではないのかと思ってしまいますが。
 やなせさんがいなくなっては、永遠の謎かもしれません。

 アンパンマンのもととなる『あんぱんまん』がフレーベル館から出版されたのは1976年です。もう40年近く前のことです。元々ひらがな表記の名前でした。手も現在とちがってきちんと五本指で描かれています。やなせさんが57歳の時です。
 この本は、やなせさんの伝記です。
 児童向けに書かれていますから、漢字にはルビもふられています。アンパンマンが大好きな子供たちが少し長い文章も読めるようになれば、その作者のことを知るのに、とてもわかりやすく書かれています。
 何故なら、著者の梯久美子さんは一時期やなせさんが編集長をしていた雑誌「詩とメルヘン」の編集者として働いていたことがあるからです。
 きっと仕事中のやなせさんの姿をそばで見ていたと思いますから、たくさんのエピソードがあると思います。けれど、この本はやなせさんの側面を語る場ではないことを、梯さん自身がよくわかっていたのだと思います。
 読者である子どもたちにやなせさんが信じていたこと、願っていたことをどう伝えるのか。
 あるいは、アンパンマンというヒーローを生みだしたやなせたかしという人はどんな人であったのか、子どもたちが読みやすい内容と長さで、どう伝えていくかが梯さんの試みだったと思います。

 それにしても、アニメになったアンパンマンのテーマソングはなんと深いのでしょう。
 この本の中でもそれはきちんと述べられています。
 やなせたかしさんの願いは、ここには過不足なくうたわれています。だから、東日本大震災のあと、多くの人たちの心に届いたのではないでしょうか。
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自信を持っておすすめしたい どんな芽を出すの?   投稿日:2015/11/15
にんじんのたね
にんじんのたね 作: ルース・クラウス
絵: クロケット・ジョンソン
訳: 小塩節

出版社: こぐま社
 野菜の植え付けには、種から育てる方法と苗を植えて育てる方法があります。
 芋類は親芋を植え付けます。
 例えば、だいこんは種から育てますし、キャベツは苗から始めます。エンドウは種からですが、季節によっては日当たりの加減もあって、小さなポットで苗の状態にして植えかえするようなこともあります。
 種の場合、気をつけないといけないのが鳥の攻撃です。土の中に埋めて見えないはずですが、どうしてもほじくりかえされるということがあります。ですから、防虫ネットをかけます。
 また種によっては発芽しない場合もあります。そのため、何粒かを同時に蒔いて、芽が出てきたあとに間引きをしたりします。
種から始めるのがいいか苗からがいいのか、それぞれの野菜の特性がありますから一概にはいえません。
 ただ、種の場合は土がぽっこり膨らんで、さてさてどんな芽がでてくるのかという楽しみはあります。
 この絵本も、そんな楽しみを描いた作品です。

 なんといっても、クロケット・ジョンソンさんの絵がいいです。特に背景が描かれているわけでもなく、線も色も素朴です。それでも、この絵本の持っている雰囲気がよく伝わってきます。
 男の子がにんじんの種を「ひとつぶ」土にまくところから始まります。この子、勇気があります。「ひとつぶ」だと発芽しない可能性もありますから。お母さんもお父さんもお兄さんも「芽はでないと思うよ」と言いましたが、男の子は毎日水をあげたり草をとったり、しっかり世話をしてあげます。
 でも、なかなか芽は出てきません。
 野菜によっては発芽に時間のかかるものもあります。
 男の子はそれでも待ち続けます。すると、どうでしょう。
 ある日、芽が出て、またたくまに男の背丈以上に育っていきました。
 そして、大きなにんじんが収穫できました。

 たったこれだけの話ですが、この男の子の根気のよさには脱帽です。
 どんなことも、いつか芽がでることがあります。そのことをこの子は教えてくれているのかもしれません。
 これだけ大きなにんじんを、男の子はどんな風に食べるのでしょうか。それを考えるのも楽しい、絵本です。
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自信を持っておすすめしたい てんとう虫は大事に  投稿日:2015/11/08
エディのやさいばたけ
エディのやさいばたけ 作: サラ・ガーランド
訳: まきふみえ

出版社: 福音館書店
 時々絵本を読んでいて思うことがあります。それは父親の不在です。
 子供が主人公の絵本に父親が描かれないお話が割りとあります。シングルマザーと子供。そのことに何か作り手の意図があるのでしょうか。父親不在があたりまえのように描かれるのは。
 この絵本でもそうです。
 「じぶんのはたけをつくりたい」と言い出す男の子エディと妹リリー。二人の子供のお母さんとおじいさんが登場するのですが、父親は出てきません。これはどうしてでしょう。
 このことはこの絵本の内容と直接関係しないのでしょうが、少し気になりました。

 さて本題。
 自分の畑をつくりたいと始めたエディですが、もちろん畑作りは初めてですから、種や培養土を買うところから始まります。そして、庭の土を耕して、種を植えていきます。
 まずまいたのは、えんどうまえ。その夜にエディがお母さんに読んでもらった絵本が『ジャックとまめの木』。なるほど、これはうまい手ですね。エディは自分がジャックになった気分です。
 ここからが大変。エディはもっともっと種をまきたくなったのですから。
 ひまわり、ナスタチウム、ブロッコリー、とうもろこし、それにかぼちゃだって。
 芽が出た苗は畑に植え替え。いつの間にか庭の畑はたくさんの野菜におおわれています。

 この絵本がいいのはここから。畑にあつまってくる鳥やら虫たちのことがきちんと説明されています。
 例えば「はっぱやはなのしるをすうあぶらむし」。てんとう虫や虻の幼虫の大好物、と描かれています。ということは、てんとう虫は野菜を育てるにはとっても役に立つ虫だということです。
 反対になめくじは畑を荒らす大敵。気になって仕方のないエディは夜になってお母さんと駆除します。
 懐中電灯の明かりでなめくじをとるエディとおかあさんの姿はなかなか他の絵本ではみられない絵かもしれません。
 こういうところをきちんと描くのは、野菜絵本の鉄則です。

 この絵本の巻末には「野菜の育て方」として何種類かの野菜の育て方と種まきの方法などが書かれていて、入門本として少し大きな子供にもいいかもしれません。
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自信を持っておすすめしたい いつだって、読書日和  投稿日:2015/11/01
ほんをひらいて
ほんをひらいて 文: トニ・モリスン&スレイド・モリスン
絵: シャドラ・ストリックランド
訳: さくま ゆみこ

出版社: ほるぷ出版
 読書週間の歴史が古い。
 もともとは1924年に制定された「図書週間」にさかのぼる。当時は11月の中旬だったそうだ。現在のような形になったのは戦後まもない1947年。文化の日をはさんだ10月27日から11月9日までの2週間となったのは戦後の2回目からだそうだ。
 「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という趣旨のもとつくられたこの週間も、今年(2015年)で69回を数える。今年の標語は「いつだって、読書日和」。
 雨がふれば室内で、晴れた日には公園のベンチで、そういつだってどこでだって本は読める。
 電気がなければ、月の明かりでさえ読めてしまう。本というのは実に便利なものだ。
 それに本さえあればどこにだって行ける。過去であろうと未来であろうと。秘境であっても大都会でも。
 そんな本に見向きもしないなんて信じられない。
 そんな人たちに、この絵本を読んでもらいたい。

 ちいさな女の子ルイーズは黄色いレンンコートを来て、今日もおでかけ。
 さてさて、どこに行くのだろう。
 ルイーズは道のそこかしこでいろんな世界を体験している。道端でハーモニカを吹いている青年。大きな犬。古ぼけたおばけ屋敷のような家。薄暗いごみ捨て場。
 とうとう雨まで降りだして、それでもルイーズはどこに行くのだろう。
 彼女が着いたのは図書館。
 ちいさなルイーズの前にずらりと本が並んでいる。

 「ほんは、たんけんしたり、かんがえたり、ゆめをみたりするのをてつだってくれるんだ」。
 ルイーズは本の世界を、自由に(そう、本を読めばいつだって自由だ!)とびまわっていく。
 こわかったことも暗い気持ちもいつの間にか忘れてしまっている。
 「ほんをひらけば、いろいろなせかいがみえてくる。ほんをひらけば、しらなかったこともわかってくる」
 まるで読書週間の標語みたいだが、本当にそうなのだから仕方がない。

 本を読まなくなった人たち、本を読めない人たち、がこの絵本を読んで、本の世界を楽しんでもらいたい。
 最初のページの献辞に、作者のトニ・モリスンはこう書いている。「あらゆる場所の図書館員のみなさんへ」と。
 これはきっと、図書館員さんへのエールだろう。
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自信を持っておすすめしたい 夜を楽しむ  投稿日:2015/10/25
よるのかえりみち
よるのかえりみち 作: みやこし あきこ
出版社: 偕成社
 季節の移ろいは寒暖の変化もあるが、夜の長さでも季節が変わったことがわかる。
 夏から秋へ、気がついたら夜はうんと早くその帳を下し、どことなく暗さも増したような気がする。
 秋の夜長とはうまくいったものだ。
 長くなった夜に少し得をした気分になる。
 みやこしあきこさんのこの絵本を読んだあとも、その少し得をした気分を味わった。

 お母さんウサギに抱っこされて家に帰る、子ウサギ。
 レストランも本屋も店じまいを始める時間。都会では夜中になっても煌々と灯りがついているが、本来夜は誰もがその日の活動をやめて、明日にそなえるもの、だったはず。
 「よるって とても しずか」、そんなことさえ忘れている。
 静かだから、家の灯りから人の話声がぼそぼそと聞こえてくる。
 誰かが電話で話している。
 どんな話をしているのだろう。

 おいしそうな匂いもする。
 一日の営みの終わりにおいしい料理をこしらえる。作ってくれる人がいて、それをおいしいと食べる人がいる。
 くつろいでいる人も、パーティで騒いでいる人も、みんな夜を愛おしみ、楽しんでいる。
 これから出かける人が、さよならの抱擁をしている。
 みやこしさんの絵のタッチの、なんという優しさだろう。
 例えるなら、静かな夜にふっと浮かび上がる蝋燭の明かりのような。

 やがて、夜はふけていく。
 お風呂にはいってくつろぐ人、昨日の続きの本を読みながらいつの間にか眠ってしまう人、こつこつと静かな足音が去っていく。
 「いつもの よる/とくべつな よる」、夜にも色々あるけれど、ベッドの毛布にようにそれはいつもどこか温かい。
 絵本にいれられて言葉はとても少ないけれど、それがまるで夜の静かさをこわさないよう、作者の優しさのようでもある。

 こんな素敵な夜には子ウサギはどんな夢を見るのだろうか。
 寝床の子どもに読み聞かせながら、いつの間にか一緒に眠っている。枕もとには、この絵本があって、もしかしたら、こんな風につぶやいているかもしれない。
 「おやすみなさい」。
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自信を持っておすすめしたい 発想豊かすぎる絵本  投稿日:2015/10/18
ほしじいたけ ほしばあたけ
ほしじいたけ ほしばあたけ 作: 石川 基子
出版社: 講談社
 なんとも発想豊かな絵本だ。
 ほししいたけをモデルに絵本ができるなんて思いませんでした。
 だって、ほししいたけの、しわしわが絵本の主人公になるなんて思います? いくら栄養がうまみがあっても、あまり思わない。
 しかも、このタイトル。ほししいたけに「点々」をくわえて、「ほしじいたけ」。
 うまい。

 もっといえば、いつものしわしわの「ほしじいたけ」ですが、森の「きんるい」、これは菌類です、の仲間はピンチにおちいれば、自らの身体を水につけて、あらま、力強い「わかものしいたけ」に変身するのですから。
 こんな発想は普段台所に立つ人でないとわいてこないのではないでしょうか。
 しわしわのほししいたけを水でもどせば、ぷっくら肉厚のしいたけになる。そのことをしっかり見ていないと、わからない。
 この絵本は、それだけで十分楽しめます。

 さらには、この絵本に登場するきのこの仲間たち。
 タマゴダケ、オオワライタケ、ホウキタケ(このホウキタケがせっせと掃除しているのなんて笑ってしまいました)、ヌメリイグチ、それにキヌガサタケ。
 いやいや「きんるい」の仲間たちも随分楽しそうです。

 どうして「ほしじいたけ」が若者しいたけに変身したかというと、子どもたちがおにごっこをしていたら、タマゴダケが崖から落ちてしまったんです。それを助けようと、「ほしじいたけ」は谷底に降りたのですが、しわしわですから崖をのぼる力がありません。
 そこで自ら水にとび込んで若者しいたけに変身したのです。
 ところが、高い崖の途中で力がなくなってきました。あやうし、若者しいたけ。
 と、そこに「ほしばあたけ」も若者しいたけに変身して、二人を助けます。
 いつも仲のいい「ほしじいたけ」と「ほしばあたけ」は、若者しいたけになっても仲がいいのです。

 「ほしじいたけ」たちの活躍を見ていると、人間の「ほしじいたけ」も「ほしばあたけ」もまだまだやれるのじゃないかと思います。
 案外この絵本は老人たちに受けたりするかも。
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自信を持っておすすめしたい 絵本はたねまき   投稿日:2015/10/12
おばあちゃんのはたけ
おばあちゃんのはたけ 作・絵: おおにしひろみ
出版社: リブロポート
 毎日たくさんの本が出版されています。全部を読むことは到底できません。きっと大切な本も読まれないままどこかの本棚にしまわれているのでしょう。
 絵本の世界でも同じです。子ども時代に読んだ絵本はほんのわずか。子どもが生まれて、娘たちと読んだ絵本もあるけれど、それでも読まれなかった絵本はたくさんあります。
 この絵本もそんな一冊です。
 1989年に出版されています。ちょうど娘たちが小さかった頃の絵本ですが、読んであげられませんでした。
 でも、こうして、初めて出会えることができました。

 きっかけはこの絵本のあとに出た『あっちゃんのはたけ』を読んだことです。
 春から小さな菜園を始めて、「はたけ」という言葉に魅かれて、手にしたのが『あっちゃんのはたけ』でした。野菜嫌いのあっちゃんがおばあちゃんの畑を手伝うことで、野菜が大好きになるというお話。
 そのお話にはどうしておばあちゃんが畑をつくるようになったのかというもっと前のお話があったのです。それが、この絵本です。

 土いじりが大好きなおばあちゃん。けれど、家にはそんな場所がありません。
 ある時、ものほしだいの向こうに何も手入れされていない土手を見つけます。
 ここをなんとかできないものか。おばあちゃんは土手にはしごをかけて、耕しはじめるのです。
 なんというおばあちゃんパワーでしょ。
 水を運ぶのも肥料を運ぶのも大変です。でも、おばあちゃんはなんとか苗を植えて種もまきます。
 ところが、ある日おばあちゃんははしごから落ちてしまいます。
 さあ、おばあちゃんのはたけはどうなってしまうのでしょう。

 作者のおおしひろみさんは1954年生まれ。ちょうど私と同世代。
 とてもかわいらしい絵を描いてくれます。
 おばあちゃんの表情はどうでしょう。とてもやさしそうで、それでいてしっかりもの。
 こんなおばあちゃんに育てられた野菜たちはどんなに美味しいでしょう。
 ぜひ、『あっちゃんのはたけ』と一緒に読んであげて下さい。
 おいしい野菜を食べたあとのように、幸せな気分になります。
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自信を持っておすすめしたい いつまでも咲き続けて  投稿日:2015/10/11
ひまわりの おか
ひまわりの おか 文: ひまわりをうえた八人のお母さん 葉方 丹
絵: 松成 真理子

出版社: 岩崎書店
 宮城県・石巻市立大川小学校。東日本大震災で数多くの悲惨な悲しみの中でも、もっとも大きな悲しみが起こった場所として記憶されています。
 全校児童108人のこの学校で実に74人の子どもたちが津波の犠牲になりました。10名の先生も命を亡くされています。
 どうしてこの小学校でこれほどのたくさんの犠牲者が出たのか。遺族が一番知りたいことです。
 津波は天災だから恨んでも恨んでも答えは出ません。でも、子どもたちは何故逃げ遅れて津波の犠牲になったのか。
 本当のことがわかったとしても子どもたちの命は戻ってきませんが、そのことがいつか来るかもしれない災害の防止になるかもしれない。
 そのことは大事なことです。

 この絵本は犠牲となった子どもたちのうちの8人のお母さんの取り組みを紹介したものです。
 あの日に何があったのかを求めるものではありません。
 命を亡くした子どもたちの笑顔をひまわりの花になぞられた取り組みです。
 それは一人のお母さんの「おかの上の花だんに、ひまわりをうえようよ!」という一言がきっかけでした。そして、次々とお母さんが集まって、夏にはたくさんの花が咲きます。
 その取り組みが新聞に紹介されました。葉方丹さんがそれを読んで、石巻まで出かけます。
 そこで出会ったお母さんたち。
 お母さんの話から浮かんでくる子どもたちの笑顔。
 初め、葉方さんは「絵本になればいいな」は、いつしか、ひまわりの花のように、一冊の絵本として出版されたのです。

 葉方さんを動かしたものはお母さんたちの子どもたちについての手紙だったといいます。あるいは、その手紙を書かせたものは、亡くなった子どもたちの思いだったのかもしれません。
 ぼくたちを、わたしたちを、忘れないで。
 亡くなった子どもたちのそんな思いが、ひまわりの花になり、一冊の絵本になったような気がします。
 大川小学校は東日本大震災のつらい傷跡の代名詞のようになりました。
 しかし、忘れないことが犠牲となった子どもたちには一番大切なことではないでしょうか。
 いつまでも、咲きつづけてほしいものです。
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自信を持っておすすめしたい キュウリの花もきれいだよ   投稿日:2015/10/04
あっちゃんのはたけ
あっちゃんのはたけ 作・絵: 大西ひろみ
出版社: ひさかたチャイルド
 野菜嫌いな子はいるもので、いったいどんなきっかけがあったのでしょうか。
 野菜は身体にいいことはわかっているけれど、口にもできないのは可哀想で、できれば子どもが小さいうちに矯してあげたいもの。
 自分で育てた野菜ならどうかしら。これは多くの親が考えつく答えかもしれません。
 実際菜園で野菜を育ててみると、小さな子どもたちがたくさんいます。ぼくんちのキュウリだよ、わたしんちのナスは大きいわ、と随分楽しそうです。
 こういうきっかけで野菜嫌いがなおるなら、菜園もいいものです。

 この絵本の主人公、あっちゃんも野菜嫌いな女の子。
 一緒に暮らしているおばあちゃんが菜園をやっていて、無理矢理連れていかれます。
 おばあちゃんはまずは土を耕します。土の中には色々な虫がいますから、あっちゃんは気になってしかたがありません。子どもというのは、動いているものは好きです。
 だから、つい、「あっちゃんにも やらせて」となります。
 次はキュウリの苗植え。おばあちゃんの作業を見ていると、やっぱりしたくなります。
 水やりだって、やっぱりしたくなって、まんまとおばあちゃんの策略にはまってしまうのです、あっちゃんは。

 とうとう雨が降った日には畑が気になって、ひとりで出かける始末。
 菜園を始めて頃はこの時のあっちゃんの気持ちでした。雨が降ったらどうなるのだろう、風は大丈夫だろうか。農家の人のように野菜で生計を立てているのではないのに、うんと気になります。
 まして水害や台風で畑が被害にあったニュースなどみると、とっても悲しくなるようになりました。育てる苦労が、少しはわかるようになったからかもしれません。

 さて、雨の日一人で畑に出かけてあっちゃんはキュウリに小さい実がついているのを見つけます。
 絵本の世界ですから、限られたページで物語を進行しないといけないことはわかりますが、野菜を育てて最初に感動するのは、花をつけた時かもしれません。さっかくだから、あっちゃんが花を見つけてもっと実がつくのを楽しみにする場面を書いて欲しかった。
 そこがちょっぴり残念。
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