![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
男の子が小さなにんじんの種を一粒まきました。家族みんなに「芽なんかでないよ」といわれても、男の子は種の命を信じて、水をやり、世話をします。するとある日、にんじんの芽が出て…。シンプルで地味な本ながら、アメリカの子どもたちに60年以上も愛されてきた代表的ロングセラー絵本です。
![にんじんのたね](/images/4772101926_20151127111835_op1.jpg)
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
野菜の植え付けには、種から育てる方法と苗を植えて育てる方法があります。
芋類は親芋を植え付けます。
例えば、だいこんは種から育てますし、キャベツは苗から始めます。エンドウは種からですが、季節によっては日当たりの加減もあって、小さなポットで苗の状態にして植えかえするようなこともあります。
種の場合、気をつけないといけないのが鳥の攻撃です。土の中に埋めて見えないはずですが、どうしてもほじくりかえされるということがあります。ですから、防虫ネットをかけます。
また種によっては発芽しない場合もあります。そのため、何粒かを同時に蒔いて、芽が出てきたあとに間引きをしたりします。
種から始めるのがいいか苗からがいいのか、それぞれの野菜の特性がありますから一概にはいえません。
ただ、種の場合は土がぽっこり膨らんで、さてさてどんな芽がでてくるのかという楽しみはあります。
この絵本も、そんな楽しみを描いた作品です。
なんといっても、クロケット・ジョンソンさんの絵がいいです。特に背景が描かれているわけでもなく、線も色も素朴です。それでも、この絵本の持っている雰囲気がよく伝わってきます。
男の子がにんじんの種を「ひとつぶ」土にまくところから始まります。この子、勇気があります。「ひとつぶ」だと発芽しない可能性もありますから。お母さんもお父さんもお兄さんも「芽はでないと思うよ」と言いましたが、男の子は毎日水をあげたり草をとったり、しっかり世話をしてあげます。
でも、なかなか芽は出てきません。
野菜によっては発芽に時間のかかるものもあります。
男の子はそれでも待ち続けます。すると、どうでしょう。
ある日、芽が出て、またたくまに男の背丈以上に育っていきました。
そして、大きなにんじんが収穫できました。
たったこれだけの話ですが、この男の子の根気のよさには脱帽です。
どんなことも、いつか芽がでることがあります。そのことをこの子は教えてくれているのかもしれません。
これだけ大きなにんじんを、男の子はどんな風に食べるのでしょうか。それを考えるのも楽しい、絵本です。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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