「だれのだろう。」 月曜日、きつねの子は「きいろいばけつ」を見つけました。名前はありません。まだ新しいようです。 それは、きつねの子が前から欲しかったようなばけつでした。きつねの子は、急いでうさぎの子と、くまの子に、ばけつのことを知らせに行きます。きつねの子が持つと、まるできつねの子のもののようにとっても似合うばけつ。くまの子は、「もしだれもとりにこなくて、ずっとそこにおきっぱなしだったら、きつねくんのにしたら」と言います。そこできつねの子は1週間、待つことにしました。
火曜日、水曜日、木曜日……と、きつねの子は毎日、きいろいばけつがあるかどうか見に行きます。うっとりと眺めたり、横でうたたねをしたり、持って歩いてみたり、魚を釣って入れる真似をしてみたり。1日に何度も、たとえ雨が降ったってきいろいばけつのところへやってきて、一緒に楽しい時間を過ごします。だんだん月曜日が近づいていくと、バケツに自分の名前を書くまねまでしたりして。
伝わってくるのは、きいろいばけつのことを大切に思い、好きで好きでたまらないきつねの子の気持ちと、毎日ちゃんと元の場所にあるかどうかドキドキする気持ちです。読む子どもたちも、あっという間にきつねの子の気持ちになって、1日1日、今日はあるかな? 今日はどうかな?と祈るような気持ちでページをめくることでしょう。
そうしてやってきた1週間後の月曜日。はたして、きいろいばけつはあったのでしょうか。きつねの子が発したひと言に、子どもたちは何を感じるでしょうか。
お話を書かれたのは、いつもやわらかい子どもの心をすくいあげ、優しく見守るように描き出す森山京さん。『きいろいばけつ』は森山京さんの代表作「きつねの子」シリーズの最初のお話です。幼い子どもたちの揺れる気持ちに丁寧に寄り添ったお話は、子どもたちの頼もしい味方として多くの親子に愛され続けています。きつねの子の喜び、楽しさ、心配の気持ちを表情や仕草で生き生きと描くつちだよしはるさんの挿絵もお話全体を温かく包み込み、安心感を与えてくれています。
「かけがえのないものは、いつの時でもたった一つしかないということを一番よくわかっているのは、ほんとうは幼い子どもであるのかもしれません」 あとがきで森山京さんがそう伝えてくれているように、かけがえのないものと過ごす豊かな時間とそれに出会った喜びの思いがたっぷり詰まったお話です。そんなきつねの子のドラマを、そばで優しく見守るうさぎの子とくまの子の友情にも注目ですよ。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
きつねの子が、丸木橋のたもとできいろいばけつを見つけました…。子ぎつねのばけつへの想いを優しく温かく描く。
きつねの子が、きいろいバケツをみつけます。とっても欲しくなりますが、だれかが忘れたのかも。いや、もう、いらないのかも。
結局、友だちと相談して、一週間まってだれもこなければ、きつねのこのばけつにしようときめました。
それから、きつねのこは、毎日、毎日ばけつを見に行きます。きつねのこの気持ちに共感して、ばけつがあるかどうか、なんだかドキドキしながら読みました。
子どもの目線になれる物語のような気がします。シリーズのようなので、他の巻も読んでみたいと思います。 (あんじゅじゅさん 40代・その他の方 )
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