後世、和歌などで有名になった西行が、まだまだ自分の才能にうぬぼれていた時分に、山奥の爺さん&婆さん+孫娘に参ってしまう愉快な話。
講談師の神田松之丞(現・六代目 伯山)が解説。日本の話芸・講談についてと、絵本の題材となった演目、登場人物や物語の背景などがまとめてある。
歴史や和歌の知識がなくても、絵を見ることで物語を楽しめる工夫がある。西行や和歌、山奥への旅などでイメージする情景を、シンプルであるが、魅力的でユーモラスな画面で堪能。
前半で自惚れている法師と、後半で素人(に見える人たち)に自分の歌を直されてプライドをへし折られる様子が面白い。しかし、このように意見されて自分の至らなさを省み、物事に真摯に取り組めるようになるという経験は、恥ずかしい思い出だが貴重だ。
ユーモアで、人生の大切なことをしっかり覚えさせてくれる一冊。
クールなデザインも素敵だ。