「おめん」 みんなの声

怪談えほん14。
表紙に描かれているのはバラの花でしょうか。
だとすれば、その美しさに潜んでいる棘がテーマでしょうか。
静かな語りで進みます。
それは誰にもある感情に訴えます。
嫌で嫌いな人たちへの呪いの気持ち。
「あるよね」と問われれば、ドキッとします。
そして、そうなるための「おめん」が現れるというのです。
その時の高揚感、客観視できないのも、人間だから。
でも、その結果は言わずもがな。
不気味な余韻です。

こちらの「怪談えほん」シリーズは、どれもとても怖いのですが、美しいイラストに惹かれて、ついつい手を伸ばしてしまいます。
こちらも、妖艶な表紙のイラストに惹かれ、手に取りました。
かぶると気に入らない人を呪うことのできる「おめん」。嫉妬心から相手を妬んだり、呪ったり。きっと誰でも思ってしまうことだったりするので、余計に怖いです。
子どもよりも、大人におすすめの絵本かなと思います。

お面は別の自分になれる小道具だと思っていました。妬み恨みの愉快犯。
でも、悪い道は、引き返せない泥沼地獄。
人の心も姿も変えてしまうのですね。
現実世界と仮想空間が入り混じったような絵には、魔力を感じました。
笑えない絵本。
お面をつけるのはやめましょう。