赤羽さんの『私の絵本ろん』に、「『つるにょうぼう』では、紙を二種類使った。一つは奉書、一つは麻紙で、白っぽい奉書を雪の屋外、
くすぼったい麻紙を置くないのうす暗さに見立てて、この相反する紙のコントラストでドラマを組んでいった」
とあり、そこまで和紙を考えられて使っていらしたということに感動して、
絵を見ると、本当にそうでした。
以来、このエピソードを人に教えております。
今まで絵をじっくりと見ることなく、文章にばかりとらわれてきたのですが、そういうことを知った上で絵を見ると
また見る目が違ってきます。
この絵本だけでなく、赤羽さんの昔話絵本はどれも素晴しいなのですが、
この作品で和紙を二種類使った後、『そばがらじさまとまめじさま』では八種類の和紙を使ったそうで、
この作品以降から、赤羽さんの絵本の完成期に入っていったような気がしています。
女性を描くのを不得意としておられた赤羽さんが、描かれた女性ものということでも
見どころはあります。
一つ一つの作品が本当に丁寧で素晴しい作品が多い赤羽さん。
孫の世代までも伝えて行きたい作品です。