てんさらばさら てんさらばさら。
どこかで聞いたことのあるような響きです。
ケサラン パサラン、そんな言葉も記憶に蘇ってきました。
きっと子どもの頃に聞いたか読んだ言葉だと思います。
調べてみると、東北地方に伝わる伝承未確認生物、とあり、
妖怪一覧にも掲載されていました。
雪のように天から降ってくる白い物なんですが、
冷たくはなく、おしろいを振ると増殖し、幸せがやってくるそうですが、
そのことは他言してはならないのです。
漁村でおばあさんと遊んでいたまゆは、不思議な白い物を見つけます。
おばあさんから、それは「てんさらばさら」だと教えてもらったまゆは
それを大切にしまっていたのですが、とうとう増えすぎて、家族に見つかってしまうのです。
少女らしい夢が一杯詰まったお話です。
一昔前の女性のささやかな幸せを感じさせてくれます。
増えすぎた「てんさらばさら」の行く末がスリリングでしたが、
素敵なラストに安堵。
素朴な女性の生き様を見るようでした。
丁寧に描かれた絵も見所いっぱい。
まゆの着物の行く末も見届けてくださいね。