大島渚が自分の子どものために書いた作文が絵本として発表されたものです。
戦争の事を書いているのだけれど、直接的な戦争批判ではなく、自分が子ども時代に実体験した事を飾ることなく、正に父親が書いた作文として、淡々と書いています。
友だちだったさかいくんの初めて見せた涙の重さが心に突き刺さります。
お父さんの戦死にも見せなかった涙。
担任の先生も順番に戦争に呼ばれて行きます。
学校では戦争賛美の教育が行われていたと思い込んでいた私にとって、とても人間的な先生は、色々な事を考えさせてくれました。
あとがきの大島武さんの言葉にこの絵本の意味を受け取りました。
自分で考える人になって欲しいという大島渚の言葉を受けて、読者に考えることを任せた絵本です。
伊藤秀男さんの絵が想像の世界を深めていると思います。
読み聞かせに使いたいと思います。