秋にお薦めの一冊です。
おくやま行きのバスはどこか淋しそうでした。
むりは ありません。
あしたから バスは無くなります。
山奥までの辺鄙な場所を走っていた路線バスが、利用者が少ないということで廃線に。
このバスを25年間運転していた運転手の山田さんは、淋しくて涙ながらに、山を眺めて「だれでもいいから のってくれたら、バスはなくならないのになぁ」とつぶやきます。
その言葉が、風に乗って森や湖まで運ばれて・・・。
村田先生の木版画が素晴らしいんです。
キャラクターが可愛らしいし、なんといっても各見開きにポイントとなるところだけ彩色されているんです。
その絶妙な色合いが気に入りました。
ラストの満員バスの中の乗客の頬にさされた色がほんとに素敵でした。
ストーリーもハッピーエンドで、これから寒くなってくる季節なのに、心あたたまるお話でした。