やなせたかしさんといえば、やはり誰もがアニメ「それいけ!アンパンマン」を思い出すでしょう。
だとしたら、やはり漫画家がやなせさんの肩書になるかしら。
でも、やなせさんの魅力は漫画家だけではおさまりません。
有名な「手のひらを太陽に」を書いた詩人でもあり、雑誌「詩とメルヘン」では詩とともに独特なイラストを描いたイラストレーターでもありました。
そして、忘れてはならないのが絵本作家としてのやなせさん。
あの「アンパンマン」の最初は、絵本『あんぱんまん』(1969年)でした。
絵本作家やなせたかしさんの「名作えほん」として何冊か新装版として出版されています。
この『チリンのすず』もそんな中の一冊です。
初版は1978年ですから、1919年生まれのやなせさんが60歳目前の作品です。
表紙には、かわいい子羊のチリンの姿が描かれています。
でも、このあと、チリンには悲しい出来事が待っています。
お母さん羊がオオカミに襲われて、亡くなってしまうのです。
チリンはオオカミへの復讐を誓って、なんとそのオオカミに弟子入れして、強さを学んでいくのです。
そして、ツノまで立派な大人の羊になったチリンはついにオオカミへ復讐します。
でも、ここから先がやなせさんらしさがでます。
チリンに復讐されたオオカミもチリンが自分を狙っていることを知っていたし、チリンもまたオオカミが先生であり父親のような存在であったことに気付くというお話です。
復讐だけではないことを、やなせさんは教えてくれています。