ことばって、なんだろう?『ことばとふたり』【NEXTプラチナブック】
ことばを知らない生きものがいた。浜辺でごろんと横になり海をじっと見つめたり、時には小石を放りなげてみたり。のんびり気ままに暮らしていた。
「たのしい」気持ちになった時には、腕をのばし鳥のようにパタパタし、「おいしい」ものを食べた時は、うしろむきにくるりと三回宙返り。けれどそれをことばで何というのかは知らない。心に冷たい風が吹きぬけ、どうしたらいいのかわからなくなった時、顔をゆがめてただ苦しそうに唸っている。この気持ちを何というかだって、ことばにできないのだ。
ある日、その様子を見ている生きものがいた。ことばを知っている生きものだ。
「かなしい ことが あるんだ」
すぐにわかったその生きものは、ことばを知らない生きものに近づいていき……。
イギリスの高名な詩人ジョン・エガードと絵本作家きたむらさとしによるコラボレーションで生まれた、「ことばのない世界」と「ことばのある世界」で暮らす生きものの、出会いの物語。それぞれのんびり気ままに暮らしていた二人が、最初に心を通わせることのできた「ことば」とは?
自分の気持ちをことばで伝えあい、ことばが多すぎる時はただ黙ってそばにいる。誰かとわかりあえるって、こんなにも素敵なことなんだ! 二人で一緒に過ごす時間を見ながら、誰もがそう思うことででしょう。「ことば」について、感情表現について、そしてコミュニケーションについて。色々な考えを広げていってくれそうな一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ことばを知らない生きものがいた。喜びも悲しみもぜんぶ感じていたけれど、それをなんというのか知らなかった。苦しくてつらいとき、ことばを知っている生きものと出会った。気もちを表すことばを、はじめて知った――。だれかとわかりあえるって、なんてすてきなんだろう! 高名な詩人と人気絵本作家が贈る出会いの絵本。
言葉を必要としない時間も、言葉で表現する時間も、どちらも大事。そのようなメッセージを受け取りました。
私の好きなシーンは、「自分で自分をハグしながら少しづつ相手に近づいていく」です。
全く面識のない相手だと、なになに、なんなの?と警戒されるようなしぐさだけど、「あなたとハグしたいんですよ、今からこうしますけど、いいですかね?」という意味だと思うとちょっと微笑ましくて、笑えるような。
彼らの間には、言葉の有無という違いはあるけれど、「時間を共有する」という共通点はある。
それが一番のカギなのかなと思いました。
子供にも違いを超えて、何かを共有する価値が存在することに気付いてほしいなと期待してます。 (だっこらっこさん 40代・ママ 女の子8歳)
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