ある日、サリーはお母さんといっしょにこけもも山に、こけももを摘みに行きました。一方、山の反対側では、小熊とお母さん熊が冬眠に備えてやはりいっしょにこけももを食べに来ていました。 ずっと歩きとおしでちょっぴりくたびれてしまったサリーは座りこみ、こけももを摘んで食べ始めます。それは小熊も同じこと。走ってくたびれた小熊は座りこんで、こけももを食べ始めました。そうこうするうちに、サリーと小熊はお母さんからはぐれてしまい、こけももの茂みの中でお互いのお母さんを取り違えてしまいます。
サリーと小熊――。母親といっしょにこけもも摘みをする、小さな子供たちのささやかな愉しみが、北米の大自然を背景に語られます。かわいらしい勘違いをしてしまったふたりの子供たちが、はぐれた母親に会えるのか、読み手はこのユーモラスな設定にどんどん引き込まれていくでしょう。子供たちがこけももの茂みの中で立てる音。――これは、この作品の大きな魅力であると同時に、親子をつなぐ象徴的な役割を果たしています。 「こけもも」とは「ブルーベリー」のこと。濃紺一色、劇画タッチのイラストは主人公たちの表情を生き生きと描写し、横長の見開き画面を生かした巧みな構図は、すがすがしい山の空気を送り込んでくれるかのようです。 家族の生活を作品に描いた作者マックロスキーのまなざしは、見返しからも感じられます。1940年‐50年代を思わせるカントリー風のキッチンは、古きよき時代、豊かな米国に生きた作者一家の息づかいを伝えます。 ――(ブラウンあすか)
こけももをつみに山へ行ったサリーは,お母さんとはぐれて迷子になってしまいました.一方,クマの親子もこの山にきていて,夢中でこけももを食べていました.サリーの思いがけない体験を描きます.
ロバート・マックロスキーは、カールデコット賞を2回も受賞しているアメリカの絵本作家。
何と初版は1948年ですから、生誕60年というまさに読み続けられている古典的作品です。
こけももの訳になっていますが、こけももはカウベリーですから、今訳そうとすれば、ブルーベリーということになるでしょう。
お話は、山へこけももを積みにいたサリーと母さん、同時に冬眠のためにこけももを食べにきていたこぐまと母ぐまの子供同士が入れ替わったというもの。
あり得ない話なのだけど、絵本ならではというべき設定でしょう。
人間もくまも、親子であれば子供の音がわかるというのは、成程と思いました。
親子でいることの素晴らしさが伝わってくることでしょう。
文章がとても長いのですが、淡々と読める絵本です。
濃紺の単色使いの絵本なので、色の鮮やかさは求められませんが、その細かい絵のタッチは見事だと思いました。
アメリカの豊かな大自然が多いに感じられる絵本です。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
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