みごとな大きな木と、その木の陰の小さな家に住んでいるおじさんのお話。
大きな木には朝から鳥が集まってきてピーチクうるさくて眠れないし、
木の下でお茶を飲めば、鳥のフンが落ちてくるし、
洗濯物を干せば、木陰で乾きにくいし・・・といった具合に、
大きな木のせいで、おじさんはイライラしていました。
そんなおじさんの口癖は、「おぼえていろよ。」
ある日、おじさんはとうとう耐えられなくなり、その場の勢いで
大きな木を切り倒してしまいます。
さぞかし、おじさんの心はスッキリ晴れ晴れするだろうと思いきや、
いろんなことに気付かされるおじさんが、そこにいたのでした。
あまりにも身近な存在で、きっと気付かなかったんだね。
大きな木の存在が、おじさんの生活の一部だったということ。
失ってみて初めてわかる、あんなことや、こんなこと。
当たり前のことが当たり前じゃなくなるってことの寂しさ。
そして、大きな木との寂しい別れの後の新たな希望。
失敗しても、またやり直せるよ。また一緒に生きていこうよ。
そんな風に大きな木から言われているみたいで、後半は感動的でした。
大きな木は何も言えないけれど、木の気持ちを感じられるような気がして、
不思議な感覚の絵本でした。大人の方にも是非読んで欲しいです。