子どもの頃に、読んでもらった記憶があったな、と思ったら・・・。福音館から石井桃子さんの訳のものでした。その本は、一度絶版となり、新たな訳で、再販されたようです。
そっくりな顔をした、兄弟が力を合わせて、苦難を乗り切るという内容は、『王さまと九人のきょうだい』と同じです。
『シナの五にんきょうだい』の方は、使われている色が、表紙以外は、オレンジと黒だけ。何とも言えない味わいのある絵。お話の世界にすんなりと入っていけます。
わがままな男の子のせいで、長男は、死刑を宣告されてしまいます。そこで、兄弟の実力発揮の時です。おかあさんとお別れがしたいと言って、兄弟が入れ替わり、次々に刑に屈しない場面は痛快です。二番目のにいさんは、鉄のように硬い首をもち、、三番目のにいさんは足をどんどん伸ばすことができ、4番目のにいさんは、絶対燃えない体、五番目のにいさんは、泡立て卵の中でも、生きながらえることができ、というように、超人的です。
最近、この絵本を読み返してみると、このお話の背景には、絶対的な権力に苦しめられていた庶民の存在があったと思います。苦難に屈することなく、たくましく、明るく生きていこうとする、庶民の心が現れていると思います。
今、日本も、いろいろな問題を抱えています。この絵本は、現代の子どもたちにも、生きていく力をあたえてくれると思います。
良い絵本は世代を超えて、読み継がれていくものなのですね。