文字にもきもち
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投稿日:2015/08/10 |
そこぬけに愉快で、どことなくとぼけた表紙の魚が
心のお琴をかきならし
誘われてページをめくれば―
「一緒にあそぼ!」ってタッチの魚たちに
すっかり魅せられてしまいました。
そして
その魚たちが表わす「きもち」はもちろん
文字を書く仕事をしてきた私には
文字そのものが伝える「きもち」がなんとも刺激的でした。
「びくびく」はびくびくしてるし
「ぎょっ」ていう字はぎょっとしてるし…
文字に息が吹き込まれて絵になり、表情をもって踊りだしました。
小学校で読み聞かせをしていますが
文字を隠して
魚を見て、きもちを当てっこしたら楽しそうです。
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どんぶりこ♪
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投稿日:2015/08/06 |
メソメソ泣いてどじょうをこまらせた後
こんな冒険が待っていたなんて!
タヌキに食べられちゃって「えっ」
ウンチで出てきて「おおっ!」
ポケットからポロリで「あっ」
ずっと口遊みながら冒険を楽しみました。
最後は大きな木になって
『まいごのどんぐり』の「ケーキ」と重なってしまいました。
どんぐり拾いは
子どもの時分も、大人になった今も
帽子付きのが嬉しくて
…ところで、この帽子、どんぶりみたいに見えません?
♪どんぐりころころ♪は、
「どんぐりこ」じゃなくて「どんぶりこ」だったと知って
衝撃的だった覚えがあります。
池に落っこちちゃったんですもん、そりゃあ、どんぶりこーですよね〜。
なのに、どんぐりの頭の帽子−どんぶりが思い浮かんでしまう私。
そこで、9番か10番、それ以降でもいいので
こんなのどうでしょ?
♪どんぐりころころ 大冒険
おかげでおなかがぺっこぺこ
頭の丼ちょいとはずし
天丼 カツ丼 親子丼
どんぐりころころ 喜んで
仲間と一緒にぱっくぱく
牛丼 豚丼 中華丼
ぺろりとたいらげ 丼こ♪
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大きなりんごの木
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投稿日:2015/06/21 |
石があって
砂は掃き清められ、水の流れを表し―
古都の美しい庭園は、心をしーんと落ち着かせてくれるけれど
寝転ぶことはできません。
自分のエリアを作ったりできません。
バンジャマンくんちの庭は
何て魅力的な庭でしょう!
魅力的な庭になったのでしょう!
シンボルツリーのりんごの木が美しく
でもそこに、洗濯干しロープを張っちゃうくらい
普段の暮らしにとけこんでる。
白い花満開の時は花嫁さんのようなのに
夜、長い歴史を話してくれる姿は、大いなる長老。
そこにいたりんごの木も
引越してきてから植えたり蒔いたりした草花や野菜も
ひとつの庭で花咲かす。
りんごの木はもう淋しくないね。
そしてこの本
葉っぱや枝のおもちゃの作り方やら
野菜や果物のレシピやら…
もりだくさん。
絵本の書架にだけではなく
植物学の420番台
料理の590番台
園芸の620番台
玩具の750番台…
図書館ではあっちの書架にもこっちの書架にも置けそうな…
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暮らしを支えているもの
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投稿日:2015/04/15 |
あれも必要、これも必要
あれもこれもあったらいいな と
ぼくの家を中心に、次々とお店や道が描き足され
街が充実していく様子を楽しみながら
私達は
あれにも、これにも助けられ、支えられて生活しているのだ と
改めて気づかされました。
自分で作った街
自分で作った道を歩き、橋を渡ってきみに会いに行く
…いかしたラストです。
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父へ
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投稿日:2015/04/05 |
祖父母との思い出がない私は
このおじいちゃんに父をみます。
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」と言ってもらったわけではないけれど
存在そのものが「だいじょうぶ」その言葉でした。
それなのに―。
28年前
治ることのない病で入院していた父が
ポツリともらした「もうだめなのかな。」
やがて父をなくしてしまうという現実に
とまどい、おそれ、自分のことでいっぱいだった私は
聞こえぬふりで、励ますことができなかった。
あの時
「だいじょうぶ」でなんかあるはずはなくても
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」と
何度も何度も言ってあげればよかった。
そう思えて悔やまれます。
だから、「ぼく」がおじいちゃんのベッドの傍らで
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」と言う場面に
少しの後ろめたさを感じながら
鼻の奥がツンとなってしまう。
そして去年、義母が入院、手術をしました。
お見舞いに私はこの本を贈りました。
―今、義母は元気です。
悔やまれることがもうひとつ。
もうちょっとだけ長く生きて
私の子どもたちに
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」って
言ってやってほしかったよ、お父さん。
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メガネの奥の瞳
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投稿日:2015/03/29 |
♪春風ルラ〜ラルラ〜ラ ちょうちょがヒラ〜ラヒラ〜ラ♪
子どもの頃、音楽の時間に習った歌がつい口をつく。
「ルラルさん」―春風みたいに陽気なイメージの名前。
ところが、開いたページのルラルさんは
メガネの奥の瞳が見えず…不穏。
大切な庭を荒らされないよう
キラリ★目を光らせていたんですね。
いますいます、こんなおじさん!
ありますあります、こんなお庭!
もう雑草1本だってこの庭に入っちゃダメッて
ピンセットで抜いてるような…
整然とした庭、見るだけの庭、
どうしても入らなきゃって時には、爪先立って歩かなきゃって庭。
このお話の功労者は
なんといってもわにくん。
堂々とこのお庭に入って寝そべっちゃって
ルラルさんに手招きしちゃって!
おかげでルラルさん
芝生に寝ころぶ心地よさと
それをみんなで味わう楽しさGet。
どれだけうっとりかって
パジャマのルラルさんは
メガネの奥の瞳が笑ってるもんね。
ルラルさんの大切な庭は
みんなの大切な庭になりました。
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うえのゆき
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投稿日:2015/02/20 |
初めてこの本を読んだ時
みすゞさんの「つもったゆき」と重なって
「あ、いいな」と、冬の終わりの特別な1冊になりました。
そうして
2月も中旬を過ぎると、もう春が待ち遠しくなって
毎年、読み聞かせに、この本を選んでしまいます。
冬の間中
道路わきの雪の山の中で
「まだですか」―「まだですよ」が繰り返されているのかと思うと
凍える冬もなんだか愉快な気分になって
積もった雪に耳をすませてみたくなります。
庭のさざんかやもみじの根もとは
いち早く雪が解けてぽっかり土が出る。
あれも、木の根っこが春を感じて
土にしみ込んだ水をくくうっと吸い込んでいたからだったのでしょうね。
小学生の頃
積もった雪に穴をあけて覗くと、うす水色で
それは、赤い光が雪に吸収されたせいなのだと
今では知っているけれど
「雪ってほんとうは水色だよね」と大発見をしたように友達と騒いでた。
あの頃の私に教えてあげたいです。
あれは
いずれ水になる雪たちの
「まだですか」「まだですよ」の声が
雪を水色にそめたのよ と。
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ふうたくんと風太くん
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投稿日:2015/01/28 |
誰かにあげちゃうのはもったいないな。
でも、誰かが喜んでくれたらうれしいな。
ひとって誰でもこんな思いを持っているんだと思います。
欲張りでちょっと意地悪な気持ちと
相手を思いやるやさしさと。
後者がまさったふうたくん
そのご褒美は
1輪の花とお友達!
私の甥っ子は風太くん。
おまけに、小さい頃から大の釣り好き。
この春、結婚します。
この本の題名を見た時、
彼のための本だ!と胸が飛び跳ね
ぜったい贈るぞ! と思ったのに…
もう、持っていました。
これからは
お嫁ちゃんと一緒に釣り糸を垂れるのかな。
ふたり並んで寄り添って―。
ふうたくんといたちくんみたいにね。
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「大好き」がこぼれそう
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投稿日:2015/01/25 |
うさぎのぼうやったら
あれになったり、これになったり
家出のゆめが、ひろがるひろがる。
それに答えるおかあさんだって負けてない。
名回答は、技あり一本!
親子がおうちでやりとりしている会話のはずが
そのこと忘れて
読んでる私まで、川に行き、山に行き…
海に行き、サーカスに行き…
こちらの気持ちも、ひろがるひろがる。
どこまでも追いかけてくれるって信じているから
ぼうや、安心して逃げられたのでしょう!?
おかあさんは、おかあさんに戻ってくるってわかっていたのでしょう!?
「やっぱりおうちにいようかな」と言うぼうやの
お母さんを見上げる目が
おかしくて、かわいくて
思わず口角が上がっちゃいました。
全ページから
ぼうやの「おかあさん大好き」と
おかあさんの「ぼうやが大事」があふれて
ページの外までこぼれそう。
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手のぬくもり
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投稿日:2014/12/06 |
過呼吸の発作に苦しんだ時期があります。
家族に手を握られ励まされた時、
『ともだちは海のにおい』に出てくる大好きなフレーズ
「いちばん…てをにぎって…もらいたい…ひとって…いちばん…すきな…ひと…の…こと…なんだな」
を実感しました。
『てぶくろ』に、あの時の思いが甦りました。
手のぬくもりは手から手へ そのまま心へ。
気持ちまであたため、
やわらかにほぐしていきます。
ゆっくりたいらにしていきます。
そうだね、手をつなぐだけでいいんだよね。
つないでつないでどこまでもつないで
まーるくつながれば、てぶくろは要らないんだね。
手をつないでぬくもりを分かち合ったなら
人種も宗教も性別も言葉の違いも
何もかもを超えて
世界中がひとつになれるかもしれない―
この本がそう教えてくれました。
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