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注文の多い絵本
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投稿日:2017/05/14 |
魔法のような絵本があると大評判になった絵本です。
どんな魔法かというと、子どもたちが眠くなってくる魔法。
きっと誰もが、えー本当? って思うのじゃないかな。
そして、その効き目にびっくりするのでは。
私には二人の娘がいますが、残念ながらどちらも大きくて、寝かせつけるということができないので、その効き目のほどを報告できません。
ただ、読んでいる私は眠くなりましたが。
昔の漫画映画なんかで懐中時計を目の前でゆっくりと振って、「眠くなる、眠くなる」と催眠術をかけるような場面がありました。
この絵本、それとよく似ています。
例えば、こんな文章。
「もっと力が抜けて、もっと気持ちが楽になる。もっとくたくたになってくる」。
ほうらね、なんだか眠くなってきません?
しかも、この絵本にはさまざまな注文がついているのです。
「色文字の箇所は、ゆっくり、静かに読む」とか、【なまえ】と書かれたところでは読み聞かせているお子さんの名前をいれて読んで下さいとか。
先程引用したところは、色文字になっていて、ゆっくり、静かに読むところ。
ほうら、眠くなってきた・・・・。
この絵本を書いてカール=ヨハン・エリーンさんは行動科学者で、そういう科学的な手法がこの絵本には散りばめられているそうです。
快眠セラピストの三橋美穂さんが解説を書いています。
眠ることは子どもだけでなく、おとなにとっても大切なこと。
この絵本を枕元に置いて、「もっと気持ちが楽になる」なんて言っていたら・・・ぐーぐーぐー。
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ポテトチップスがダメなら自分でやるか
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投稿日:2017/05/07 |
最近驚いたのは、昨年の台風の影響でじゃがいもが不作になって、いくつかのポテトチップスの販売を中止するというニュースでした。
今や私たちの食生活にポテトチップスは欠かせないお菓子なのです。
だから大きなニュースになる。
そういえば、台風で水につかったじゃがいもを昨年たくさん見たように思いますが、それが今頃影響してくる。
ならば、自分で育ててみるか、と考えた人がいるかどうか、この絵本は子どもだけでなく、これからじゃがいもを育ててみようと考えている大人の人にも役立つようにできています。
まずは予習。
じゃがいもはナス科の野菜です。
私たちが食べている、あの「ごんごろ」しているところは茎が膨らんだものなんですよ。
本当の実はトマトみたいな形をしているそうです。
ここまでが、予習。でも、この絵本にはちゃんとこの説明も載っています。
トマトそっくりの実も絵で描かれていますから、一度見てみて下さい。
じゃがいもは種ではなくて種イモから育てます。
でも、地中の様子は見ることができません。何しろ土の中から顔を出すのは収穫の時ぐらいですから。
見たい人のために、この絵本の作者いわさゆうこさんは丁寧な絵を描いてくれています。もちろん、地中の姿も。
丁寧な絵ということでは、じゃがいもの花の絵も素敵ですよ。
こんなきれいな花が咲くのですから、それだけでも育てる価値があるというもの。
もちろん、収穫はもっと楽しみですが。
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まるごと一冊、長谷川義史くん
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投稿日:2017/05/05 |
大阪の南東部に藤井寺市があります。
ここにはかつて近鉄バッファローズの本拠地藤井寺球場があったことは知っていましたが、何しろ小さな街で、市としては大阪で一番小さい。
日本全国でも5番目に小さいぐらい。
その小さい(きっと藤井寺の人は小さい小さい云うな、アホ! ぐらいはいうだろうな)街に、大きい絵本作家が暮らしている。
その名は、長谷川義史。
もしかしたら、今日本で一番人気のある絵本作家かもしれない。
その長谷川さんがお友達の寿太郎さんを相手に、小さい頃のアホな話やお母さんとのしみじみ話や絵本についての真面目な思いを、しゃべくりまくったのが、この本です。
まず書いておくと、大阪の人のDNAには吉本新喜劇とか松竹新喜劇といった笑いの毒素? が必ず入っているもので、つっこまれたらボケないといけないスイッチが作動するものなのです。
長谷川さんの絵本にはその毒素がふんだんにはいっていますから、それを苦手にする関東の人も知っています。
大阪出身の私としては、納得がいかないのですが。
長谷川さんには単に笑いだけでなく、時にしみじみとさせるところもあって、そのあたりも長谷川さん自身藤山寛美に代表される人情劇松竹新喜劇に影響されたと告白しています。
長谷川さんは小さい頃にお父さんを亡くされていて、その関係で名前を「義雄」に変えられそうになった話なんか、もうメチャクチャおもろい。
そのあとで、お父さんの幽霊と出会ったり、ホロリともさせるのですが。
まるごと一冊、長谷川義史ワールド全開です。
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心を洗いましょう
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投稿日:2017/04/30 |
いわむらかずおさんの「14ひき」シリーズはとても人気の絵本です。
森に暮らす野ネズミの家族、おとうさん、おかあさん、おじいさん、おばあさん、そして10ぴきのきょうだい、全員で14ひき。
この作品の素晴らしいところは、季節きせつのストーリーとその景色と色彩。
野ねずみたちの視点が低いので、まるで読者も小さくなって森の中で遊んでいるかのような気分になります。
この作品でいえば、季節は夏。
雨がやんで森に夏の太陽が差し込んできたところ。
家族の大せんたくが始まります。
全体的に薄い緑が基調になった色彩になっていますから、読むには初夏あたりでも大丈夫。
雨のあとのせんたくほど、気分がすっきりします。
本当にこの巻ではきれいな緑が美しい。
彼らがせんたくをする谷川の風景も、緑が映えます。
普通だったら、水色あたりを使うような気がしますが、いわむらさんはそうはしなかった。
緑色を使うことで、風の気分に満ちた世界になっているように感じます。
14ひきは野ねずみですから本当によく似ています。
よくよく見ると、それぞれに特徴があります。
シャツの柄やパンツの色、帽子のかぶりかたとか。
だから、時々文章のなかに名前をいれることで、読んでいる子どもたちは絵に釘づけになります。
そして、名前のはいった野ねずみを見つけると、うれしくてたまらない表情をすることでしょう。
いわむらかずおさんの「14ひき」シリーズは、心をせんたくする絵本なのです。
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絵本の書き手の、なんと幅広いことか
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投稿日:2017/04/23 |
絵本は、書き手を選ばない。
通常は絵本作家が文も絵も描くことが多いが、時に絵本作家同士が互いに文を担当したり絵を描いたりすることもある。
絵本作家だけが絵本を書くことはない。
特にそれは文の方だが、詩人も書く。漫画家も書く。映画監督も書く。俳優も書く。落語家も書く。アナウンサーも書く。
小説家ももちろん書く。直木賞作家も芥川賞作家も書く。
文学の世界では漫才師が小説書いたって驚天動地していたが、絵本の世界では驚かない。
絵本はとても寛容なのだ。
この絵本の文を書いたのは、『この人の閾』で第113回芥川賞を受賞(1995年)した保坂和志さん。(絵は、小沢さかえさん)
芥川賞そのものがストーリー性よりも文章の巧さに一目を置くところがある文学賞だが、その文体が絵本に合うかどうかは作者次第であろう。
どちらといえば、詩人の、一行一行刻むような散文があっているような感じがする。
この作品の場合、「チャーちゃん」という一匹の猫が主人公だ。
しかし、この猫は死んでいる。
死んでいるのだが、踊っているのだという。
この猫がいる世界は死後の世界であるが、そちらではかつて生きていたものたちが楽しそうに踊っているという。
だから、生きていた世界ではパパもママも泣いているけれど、チャーちゃんのいる死の世界ではみんな楽しく踊っているのだ。
そう思っている(想像している)のは、きっと生きている世界にいるものたちだろう。
こういう深い作品も、絵本は平気な顔をして受け入れてしまう。
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恩田陸さんのこわーい絵本
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投稿日:2017/04/16 |
絵本というのは、なんとも幅広い世界を網羅する出版のジャンルだ。
この絵本は東雅夫さん編による「怪談えほん」で、絵本というのは子どもたちが眠りにつく前にお母さんが読んであげるというイメージがあるが、こういう怖い絵本を読んだら眠るに眠れないのではないかと思う。
それでも人気シリーズであって、すでに何冊も刊行されている。
しかも、書き手がすごい。
これまでにも宮部みゆきさん(『悪い本』)や京極夏彦さん(『いるの いないの』)などが執筆している。
そして、この本は恩田陸さん。
といっても、直木賞を受賞する前の2014年の作品ではあるが。
恩田陸さんの魅力は絵本に似たところがあって、さまざまなジャンルの作品を描けるとこともそのひとつだろう。
この絵本にしても「怪談えほん」というだけあって、とっても怖い。
鏡というもの自体、摩訶不思議なところがあって、それをたくみに使って怖さを演出している。
そこは絵本だから恩田さんの文章だけでなく、絵を担当している樋口佳絵さんの見せる怖さの要素も大きいのだが。
なんといっても、主人公の女の子が怖い。
鏡の中の女の子は当然怖いのだが、それ以上にこちら側の女の子の扁平な表情の方がもっと怖い。
もっともどちらがこちら側かそれはパラレルでもあるのだが。
女の子は家や学校という日常を逸脱しない。しないが、そこここに鏡の世界が広がっている。
日常ゆえの怖さといっていい。
今夜は眠れそうにない。
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あなたなら何をする?
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投稿日:2017/04/09 |
金があれば、銀だって。
オリンピックのメダルもそうだし、将棋にもある。
童話の、池に沈めた斧だって、確か妖精は金の斧も銀の斧も見せてくれたはず。
だったら、金曜日があるのだから、銀曜日があってもいいのではないか。
それにそもそもそんな曜日はあるはずもないのだから、「なにしよう?」って考えたら、一層誰も考えそうもないことを考えてみるのがいいのではないか。
作者の益田ミリさんがそう思ったかどうか知らないが、「銀曜日にはおおきなクリームソーダ」はまだありそうで、それが「やきそばプール」になるともうシュールとしかいいようがない。
それでいて、銀曜日があったらいいなと思う程度に「やきそばプール」もあったらいいなと思ってしまう。
「お風呂バス」なんかは温泉の街別府なんかで走ってそうだけど。
益田ミリさんといえば『すーちゃん』シリーズで若い女性にも人気の漫画家だが、大阪生まれというだけあって、絵本作家長谷川義史さんにつながるはちゃめちゃ感がなんともいえない。
絵は益田ミリさんとの絵本を何作か描いている平澤一平さんで、平澤さんの絵がおちついているから、ナンセンスな話なのだが、けっしてそうは見えないというのもいい。
でも、本当に銀曜日があったら、きっと、もっと勉強しなくちゃいけないのだろう。
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やさいのがっこうの卒業は難しい
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投稿日:2017/04/02 |
この絵本を最初に見つけた時、「やさいのがっこう」って何だろうと考えました。
表紙にはトマト、キャベツ、ダイコン、ナス、その他馴染みの野菜たちがかわいいイラストで描かれています。
野菜たちは「やさいのがっこう」で何を勉強してるのだろう。
その答えはすぐに解けました。
最初に書いてあります。
「おいしいやさいになるために」彼らは「がっこう」に通っているのです。
そして、「つやよし!」「いろよし!」「かたちよし!」の三つに合格すれば、「ごうかくシール」を貼ってもらって、「やさいのがっこう」を旅立つというわけです。
つまり、卒業。
勉強もしないで卒業できる学校とは大違い。
野菜たちはこの「ごうかくシール」を憧れにしているのです。
この絵本のタイトルに「とまとちゃんのたびだち」とあるように、この巻でとまとちゃんが「ごうかくシール」を貼ってもらえるまでの苦労が描かれています。
どうしてとまとちゃんは苦労したのでしょう。
それはお天気でした。
合格間近のいい色にまで成長したとまとちゃんですが、あと少しで天候がよくありません。
毎日曇りとか雨。
野菜を育てるのに一番難しいのが、天候です。
暑かったり寒かったり、雨がたくさん降ったり、全然降らなかったり。
とまとちゃんだけでなく、たくさんの野菜にも影響します。
このとまとちゃんを助けるのがみょうがちゃんとクレソンくん、というのが渋い。
子どもたちに読んであげるときにはこれらの野菜の現物を用意してあげるのもいいかもしれません。
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言葉を自由に羽ばたかせて
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投稿日:2017/03/26 |
言葉は広がる枝木のようなものです。
広がり、そこにつく葉、咲く花、実る果実。読者はどこまでも想像の翼を広げられる。
この絵本の作者宮内婦貴子さんはかつて映画やドラマで活躍された脚本家でした。
2010年に76歳で亡くなられましたが、この作品は1987年に書かれたものです。
それに、いせひでこさんが新たに絵を制作され、2015年にこの絵本が出来ました。
新たな生命の誕生です。
宮内さんは「おさびし山のさくらの木」と一人の旅人の話を書いています。
花は散るけれど、生命はめぐりくるのでまた会うことは叶いますというさくらの木の言葉を信じ、季節がもう一度めぐった春におさびし山を訪ねます。
しかし、さくらの木は切られ、風車になっていました。
呆然と泣くしかない旅人に光が差し込みます。
それはさくらの木であった光でした。
「もう花はさかないのですか」と尋ねる旅人に「さきますとも」と光は答えます。
「生命はめぐりめぐるものですから」。
宮内さんの言葉には繰り返される生命の尊さが描かれています。
その文章にいせさんは私たちが想像するような旅人を描きませんでした。
何を描いたかというと、一頭のくまです。
いせさんにとって、宮内さんが書いた「旅人」というのは人ではなかった。くまとして生きているものであったのです。
もとさくらの木であった、そして今は風車になった光の前にたたずむ一頭のくま。
それはまさに宮内さんの言葉に生命が吹き込まれた瞬間のような気がします。
私たちは言葉からもっと自由であるべきなのでしょう。
きっと一人ひとりに「おさびし山のさくらの木」があるかのように。
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この子たちの輪のなかへ
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投稿日:2017/03/19 |
うかつでした。
この絵本が2015年に刊行されたのに気がつきませんでした。
この絵本の前作にあたる『ふくしまからきた子』が出たのは原発事故から1年が経った2012年春でした。
そこでは原発事故をきっかけに母の故郷である広島に越してきたまやという少女と、広島で生まれただいじゅという少年の交流を通して、放射能の問題についてやさしく描かれていきます。
ヒロシマとフクシマ。いいえ、広島と福島。
60年以上の時を隔てながらも、くっきりと交叉する街。
そして、この作品から3年後、まやは久しぶりに福島に戻って、通っていた小学校にやってきます。
そこではかつての友達の卒業式が行われていました。
その様子を遠くから見ている、まや。
原発事故がなければ、友達はちりぢりになることもなかったでしょう。
楽しい思い出を共有できたでしょう。
でも、そうではありません。
そんな「ふくしまからきた子」たちが今だに避難先でいじめにあっているという暗いニュースがまだあります。
もし、そんないじわるをしている人がいたら、どうかこの『ふくしまからきた子』の2冊を読んでみてほしいと思います。
小学校の卒業式からそっと立ち去ろうとする、まや。
そんなまやを見つけるふくしまの子たち。
その子たちの輪に、大きな拍手をおくりたい。
この作品も松本春野さんの絵がいい。いわさきちひろの血が続いています。
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