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はじめてのクリスマス

はじめてのクリスマス(偕成社)

人気コンビがおくる、新作クリスマス絵本

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夏の雨

パパ・60代・埼玉県

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夏の雨さんの声

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自信を持っておすすめしたい ふじさんに感謝  投稿日:2016/10/16
おーい、ふじさん!
おーい、ふじさん! 写真・言葉: 大山 行男
出版社: クレヴィス
 富士山を見て、嫌な気分になる人はいないだろう。
 多くの人は富士山を見たら、思わずニッコリするのではないか。
 私など今でも新幹線に乗れば、富士山を見ようと横浜を過ぎればソワソワしている。万一、見損なえば、一日損した気分になる。
 朝起きて、ベランダから富士山が見えると、なんといい景色だろうとつい柏手をうつ。
 ちなみに私は埼玉に住んでいるが、富士山はそこからでも見える。
 そういう気分をもたらせてくれるのが、富士山だ。

 この絵本は写真絵本で、写真家の大山行男さんが撮ったさまざまな富士山で出来あがっている。
 童謡のように、「頭を雲の上に出し」ている富士山もあれば、おなじみ赤富士ももちろんある。
 くらげの大群のような雲と富士山。
 かみなりと富士山。
 月と富士山。
 そう見ていくと、富士山は富士山単独でも美しいが、何かと組み合わさるとまったく別の世界を浮かびあがらせていることに気づく。
 それは富士山が単独でどうとか、富士山と合奏するものがどうとかではなく、共存している世界が私たちに全く新しい世界を見せてくれるということだ。

 さらにいえば、そんな世界を見ている私たちがいる。
 この絵本でいえば、まさに大山さんのカメラがそんな存在で、例えば富士山と月、そして大山さんのカメラが一体となって、世界を生み出しているといっていい。
 そして、私たち読者はこの絵本を読むことで、さらに広がった世界を共有するのだ。
 そんな世界が生まれるのも、富士山があってこそのような気がする。
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自信を持っておすすめしたい とべジブン                     投稿日:2016/10/09
とべ バッタ
とべ バッタ 作・絵: 田島 征三
出版社: 偕成社
 この世界は人間だけで出来ているわけではない。
 動物もいれば昆虫もいる。魚もいるし鳥もいる。花も咲くし草だってはえている。
 そうちょうど、この絵本の作者田島征三の描く絵がたくさんの色にあふれているように。
 もし、たった一色の世界だったらどんなにつまらないだろう。
 だったら、この世界のたくさんのことを知るといい。
 この絵本のバッタのように、毎日何かにびくびくすることをやめて、新しい世界に飛び出すことに決める。

 田島の絵はとても力強い。
 だから、小さなバッタが蛇やカマキリや鳥やカエルと戦ってどんどん空の高みに昇っていくのを見ていると、痛快だ。
 それに、こんなことを考えてしまう。
 バッタだってとんだんだ。自分もとべるんじゃないか。
 きっとこの絵本で、そんな勇気をもらった人はたくさんいるにちがいない。

 それにバッタは自分に羽根があることに気づく。
 それをパタパタと動かすと、空を飛べる。トンボもチョウもバッタの飛び方を馬鹿にして笑うが、バッタは自分の新しい力を自分で見つけたのだから、すごいものだ。
 誰しもが持っているだろう、自分だけの力。このバッタのようにそれに気がつくかどうか、それは自分の問題だ。
 誰も教えてくれない。
 そして、その力がどんなに弱々しくはあっても、その力を信じること。
 実はこの絵本のバッタだって、最後にはとっても素晴らしいことが待っているのだ。
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自信を持っておすすめしたい おばあちゃん子がうらやましい  投稿日:2016/10/02
しげちゃんとじりつさん
しげちゃんとじりつさん 作: 室井 滋
絵: 長谷川 義史

出版社: 金の星社
 子どもの頃の思い出は甘酸っぱいものだが、同時に少々恐ろしい。
 女優の室井滋さんの絵本『しげちゃん』の続編にあたるこの作品では、夏休みに入るしげちゃんの恐怖体験がおかしく描かれています。

 夏休み目前のしげちゃんには心配なことが3つありました。
 ひとつは身体検査。どうしてかというとしげちゃんは体にお守りふたつもぶらさげているから。
 次は先生の家庭訪問。先生はお母さんにどんな小言をいうのだろう。
 最後は成績表。
 なんとしげちゃんはそこに「自立を!」なんて書かれてしまう。

 しげちゃんは正真正銘のおばあちゃん子。
 「自立」なんて書かれてしまったので、今夜から一人で寝ることになったが、暗い天井には薄気味悪いたくさんの目がこちらを見ているような。
 あれが「じりつさん」?
 そんなことはないのですが、自立の意味もわからないしげちゃんにはそういう怖いものに思えたのでしょう。
 あまりに怖くて、やっぱりおばあちゃんの布団に逆戻り。

 しげちゃんはおばあちゃんもしげちゃんが布団に戻ってくるのを楽しみにしていると思っていたのですが、本当はおばあちゃんもしげちゃんが「自立」しないと考えていました。
 そこで知恵を働かせて、しげちゃんを遠ざけようとします。
 最後は、しげちゃんだけでなく読んでいる方もびっくりするような恐怖体験が待っています。すぐに大笑いしてしまうような体験ではありますが。

 それにしてもおばあちゃん子だったしげちゃんがうらやましくなります。
 この作品も長谷川義史さんの絵が生き生きとしています。
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自信を持っておすすめしたい しいたけも仲間だーい  投稿日:2016/09/25
やさいむらのなかまたち 秋
やさいむらのなかまたち 秋 作・絵: ひろかわ さえこ
出版社: 偕成社
 「こころのちずをひろげると ふるさとちほうのかたすみに 「やさいむら」がのっています」、こんな詩的な書き出しで始まる絵本は、『やさいむらのなかまたち』という季節ごとのシリーズものです。
 秋の巻は、男爵さまとおだてられ都会へ出たものの、そこでは「イモ」となじられた「じゃがいもくん」の紹介から始まります。
 絵本、というよりも漫画っぽい、でありながら、それぞれの野菜を紹介する「ねほりはほり」というページは、その特徴をうまくまとめています。
 「じゃがいも」でいえば、ちゃんと「ナス科ナス属」の野菜とまず書かれています。
 そのあとに名前のいわれ、例えば「男爵いも」と呼ばれるのは川田男爵が持ち込んだ品種だとかそういう話。
 さらには、栄養とか保存のことも書かれています。
 ちょっとした豆知識として、給食の時間なんかに使えそうです。

 「やさいむら」の秋編には、どんな野菜が紹介されているでしょう。
 じゃがいも、ほうれんそう、さといも、せろり、さつまいも、とうがらし、しょうが、しいたけ、です。敬称は略しました。
 この中でひとつだけ本当は仲間はずれがいるのですが、わかりますか。
 答えは「しいたけ」。
 しいたけは植物ではなく菌類なんですね。
 でも、「やさいむら」のみんなは仲良しですから、仲間はずれになんかしません。
 そんなところがなんともほっこりする、いい村です。
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自信を持っておすすめしたい なんとも素敵な児童書です  投稿日:2016/09/22
石井桃子集 1 ノンちゃん雲に乗る 三月ひなのつき
石井桃子集 1 ノンちゃん雲に乗る 三月ひなのつき 出版社: 岩波書店
 児童文学者石井桃子の功績は数多ある。
 海外の児童文学の翻訳、家庭図書館の活動、作家としての執筆。
 なかでも、この作品は石井桃子の代表作でもある。
 初版の刊行は1947年、戦後間もない時期である。出版社が変わって刊行された1951年には第1回芸術選奨文部大臣賞を受賞、その後映画にもなった程だから大いに読まれた。
 今はこうして彼女の著作集の第1巻に収録されてはいるが、もっと広く読まれてもいいのではないか。
 決して古びていない、いい作品だ。

 主人公は小学2年に進級したばかりの女の子、田代信子ちゃん。ノンちゃんと呼ばれている。
 ある日ノンちゃんが目を覚ますと、お兄ちゃんとお母さんがいない。ノンちゃんには内緒で、東京に行ったらしい。(ちなみにいうと、ノンちゃんは小さい頃に赤痢になったので今は東京から少し離れた土地で暮らしている)
 ノンちゃんは拗ねて、ずっと泣きっぱなし。
 家も飛び出して、なんと池に映った雲の中に飛び込んでしまうのだ。それがタイトルの由来。

 雲の飛び移ったノンちゃんはそこでおかしなおじいさんに出合って、自分のことや家族のことを話すことになる。
 話すうちに、大嫌いだったお兄ちゃんがちっとも嫌いでなくなったり、よくできると思っていた自分がそうではないことに気がついたりする。
 特にノンちゃんのお父さんはのんきそうだが、しっかりと子どものことを見ている。
 子どもの躾とはこうやってするのかと感心する。

 こういう作品がもっと読みやすい文庫本なんかで刊行されたらどんなにいいだろうに。
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自信を持っておすすめしたい おじいちゃん子がうらやましい  投稿日:2016/09/18
おじいちゃんの ごくらくごくらく
おじいちゃんの ごくらくごくらく 作: 西本 鶏介
絵: 長谷川 義史

出版社: 鈴木出版
 世の中には、おじいちゃん子、おばあちゃん子というのは確かにいる。
 私は生まれる前におじいちゃん、生まれて間もなくしておばあちゃんを亡くしているので、おじいちゃん子たちの心理というか境遇というか、全く理解できないのだが、なんとなく残念でしかたがない。
 おじいちゃんがいたら、おばあちゃんがいたら、何を教えてもらえただろう。
 目下のところ、自分がおじいちゃんになることも予定はないから、自分の人生でおじいちゃんやおばあちゃんはうんと遠い。

 だからだろうか、こういうおじいちゃん子の男の子を主人公にした絵本を読むと、うらやましい。
 この作品ではおじいちゃんが口にする「ごくらく」という言葉を鍵語にして、男の子はおじいちゃんの死に直面することになるのだが、死んでいく順番でいえば初めて目にする肉親の死はおじいちゃんおばあちゃんのものだろうが、私はそれすら経験せずに大人になってしまったのだ。
 なんだか、大事なことを学ぶことが随分遅くなったような気がする。

 この作品に出て来る「ごくらく」は漢字にすれば「極楽」ということになるだろうが、こういう言葉は現代のおじいちゃんやおばあちゃんは口にしないのではないかしら。
 つまり、現代のおじいちゃんおばあちゃん世代は自分とあまり年齢が変わらないはずで、さすがに私は「ごくらく、ごくらく」などとは呟かない。
 孫の世代にあの世のことを伝えるのも難しい時代なのかもしれない。
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自信を持っておすすめしたい わからなければ、かかりの ひとにきこう  投稿日:2016/09/11
としょかんへ いこう
としょかんへ いこう 作: 斉藤 洋
絵: 田中 六大

出版社: 講談社
 子どもたちが本に親しむ場所といえば、街の図書館で子どもたちだけで本を探してたり本を読んでいる光景はあまり見かけないですから、やはり学校の図書館でしょうか。
 街の図書館には子どもたちだけでなくおとなの人もいますし、お兄ちゃんやお姉ちゃんたちも勉強したりしていますから、なかなか入りにくいかもしれません。
 でも、学校の図書館とは違う、もっと専門的な本であったりおとなの人たちが読む本なんかも置いています。
 あるいは、子どもたちがもっと小さい時にお世話になったような大きな活字の絵本だってあります。
 絵本なんて恥ずかしい? 大丈夫ですよ、だって、図書館のことを書いているこの本だって絵本ですもの。
 小さな弟や妹に読んであげながら、自分はしっかりと図書館がどういうところか勉強すればいいのです。
 きっと、今まで知らなかったことも書いてありますよ。

 たとえば「けんさくき」。漢字で書くと、検索機。
 この絵本の中では「いったい なにに つかうのかな?」とまず書かれています。
 それから、その使い方が描かれています。
 もちろん、皆さんの図書館にはさまざまなタイプの検索機がありますから、この絵本だけではよくわからないかもしれませんが、最後にちゃんとこうあります。
 「わからなければ、かかりの ひとにきこう。」

 実は図書館って「ひとにきこう。」がとっても大切なことなんです。
 聞かれるための人も図書館にはちゃんといます。「司書」さんです。
 この絵本を読んで、さあ、「としょかんへ いこう」。
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自信を持っておすすめしたい 私の一冊  投稿日:2016/09/04
クマよ
クマよ 文・写真: 星野 道夫
出版社: 福音館書店
  「いつか おまえに 会いたかった」
 グリズリーの静かな表情をとらえた一枚の写真とともに、この言葉があります。
 私の一冊は、アラスカの自然と動物たちを撮り続けた写真家星野道夫さんの『クマよ』です。
 本を開くと最初に出会うこの言葉に深く心を打たれました。
 何千語、何万語という言葉で紡ぎ出される思いの世界を、星野さんは、たった十三文字で言い切ってしまわれた。そのことの凄さもまた胸にせまってくる十三文字です。

 つづくページにこうあります。
 「あるとき ふしぎな体験をした 町の中で ふと おまえの存在を 感じたんだ」。
 星野さんは若い頃本当にそう思われました。
 私たち人間とくまは全くちがう世界にいるのではなくて、同じ時間を過ごし、同じ空間にいるのだと。
 だから、星野さんはクマに会いたいと思います。
 そして、たどりついたのがアラスカでした。
 星野さんのどの文章でもそうですが、遠く離れていても、そしてそれが人間であれ動物であれ、相手のことを深く感じ合えるという思いは、とても大切なことだと思います。

 私が星野さんの写真に初めて出会ったのは、二〇〇六年の秋、私の職場でもあった福島の百貨店での展覧会場でした。
 その展覧会ではたくさんの人たちに助けて頂き、会場内で星野さんの本の「読み聞かせ」をしました。その時、読んだのがこの『クマよ』です。
 この本の最後にこうあります。
 「おまえの すがたは もう見えないが 雪の下に うずくまった いのちの 気配に 耳をすます」
 星野さんはもういないけれど、星野さんが残してくれた、たくさんの写真と文章はいつまでも私たちに生命の尊さを教えてくれているような気がします。
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自信を持っておすすめしたい 家に人格を持たせる怖さ  投稿日:2016/08/28
えほん遠野物語 まよいが
 えほん遠野物語 まよいが 原作: 柳田 国男
文: 京極 夏彦
絵: 近藤 薫美子

出版社: 汐文社
 柳田国男の『遠野物語』の絵本シリーズの一冊。
 文は京極夏彦さん、絵は近藤薫美子さん。
 作品によって絵の担当が変わるのだが、それぞれ画家の個性が作品の雰囲気を変え、それはそれで面白い。
 この本にしても、白を基調にしたデッサンで怪しい雰囲気を醸し出している表紙をみても、「遠野あたりの山では、不思議なことがよく起きる」のも納得がいく。

 さて、タイトルの「まよいが」であるが、私は最初「迷い蛾」みたいなものを思っていた。白い表紙が蛾の銀粉のようにも感じたせいでもある。
 ところが、これは「迷い家」という漢字をあてるらしい。
 昔、一人の女房が山に迷い込んで、不思議な館に入り込む。
 「どこにあるのか、どうやって行き着けるのか」誰も判らないが、「迷い家は、訪れた人に幸運を授けて」くれるらしい。

 この本ではその「迷い家」に入り込みながら何もとらずに村に帰った女房が、川の上流から流れてきた朱塗りの椀を拾い上げると、これがまた不思議なことにいくらでも米を生み出したという。
 こういう欲のない人が、欲がないゆえにお金持ちになるという話はたくさんある。
 この話もそういう話の一つだが、それが「家」という建物が生み出すというところにこの話の不思議さと怖さがあるあるような気がする。

 そういえば、昔家が人間を飲み込んでしまうといったホラー映画があったと思うが、これもそういう類の怖さがある。
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自信を持っておすすめしたい 富士山に行ってきました  投稿日:2016/08/21
ふじさんファミリー
ふじさんファミリー 作・絵: みやにし たつや
出版社: 金の星社
 富士山は2013年に世界遺産に登録されました。
 めでたい。
 あっぱれ、日本一。
 やっぱり富士山というのは日本一の山ですから、正直うれしいと感じるのは、日本人だからでしょうね。
 初めて富士山を見たのはいくつだったかしら。中学生の修学旅行が東京だったから見るとしたらその時が最初。 でも、まったく記憶がありません。
 大学受験の時にも東京に向かったはずですが、これも記憶にない。
 東京の大学にはいって帰省の都度、富士山が見れたら運がいいやぐらいは思っていました。新幹線の車窓からつい見てしまうのは、今でもそう。
 見るたびにほれぼれする。いつ見ても、いいお姿です。
 きっと今年のかき氷は「富士山氷」なんて流行るんでしょうね。

 そんな時に見つけた、みやにしたつやさんの楽しい絵本がこれ。
 富士山に家族があったなんていう発想が素晴らしい。
 主人公は「ふじ さんしろう」という男の子(というより、山なんですが)。パパは日本一の、というか今は世界遺産の、「ふじパパ」。ママは「ふじママ」。ママのピンクの山肌がなんともいえない。
 このたび、さんしろう君に妹が誕生して、ふじママの関心はすっかり赤ちゃんにとられてしまいます。
 怒ったさんしろう君はついに家出を敢行したから、さあ大変。
 山の仲間総出で、さんしろう君を探すのです。

 物語はよくあるパターンですが、なんといっても登場するのは富士山ですから、その魅力でひっぱっていきます。
 ふじパパもふじママも山肌の色はちがっても、頭に雪の冠をのせ、鋭角になだれおちる姿は富士山そのもの。
 さんしろう君はまだ子どもですから、そこまでりっぱな形をしていません。どちらかといえば、台形。
 成長したら、ふじパパのようにりっぱな姿になるんでしょうね。

 でも、パパが世界遺産になっちゃって、さんしろう君もクラスで自慢してるんだろうなぁ。ふじパパはPTAの会長なんか頼まれるのだろうか。
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【連載】絵本ナビ編集長イソザキの「あたらしい絵本大賞ってなに?」

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